『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「お前今夜の宿、どうすんの」
何気なく訊かれ、何気なく同じ道を行った。流れで同じ宿に入り、コックは二人用の部屋をとった。
部屋へ入ってドアを閉めてから、コックと二人で一つの部屋に入るのはあの時以来だと思い出した。あの時よりは上等な部屋だ。ベッドが二つに、ミニバーまで付いている。ついでに追っ手も無い。
コックはミニバーに直行し、咥え煙草でグラス二つに氷と酒を注いだ。一つはそのまま放置し、もう一つを片手に断りもなく片方のベッドに座り込んだ。黙って酒と煙草を交互に味わっている。
二人で一つの部屋に入るのに、どちらからも同意はなくしかし拒否もなかった。それならば、そういうことだろう。
残されたグラスを一気に空にして、俺は同じベッドに乗り上げ、顔を近づけて問うた。
「いけない事といい事、どっちがしたい」
一瞬目を丸くしたコックは、いやらしく笑った。
「それ、どっち選んでも同じじゃねえの」
欲に塗れた雄の顔だった。手にしていたグラスをゆっくりサイドテーブルに置いた。からんと氷が鳴った。指の股に挟んでいた煙草を深く吸って、灰にした。灰皿で躙り消す仕草はやけに優雅だった。
唇を寄せる。
瞼は下ろされた。
目を覚ますと、コックは体を起こして煙草を吸っていた。灰皿の吸殻は一本のままだ。細く開けたカーテンの隙間からは、まだ太陽は覗かない。けれど夜と呼ぶには明るかった。明け方。コックは薄明るい外へ目を遣ったまま、掠れた声で問うた。
「で、どっちだったんだ?」
いい事か、いけない事か。
お前は『いけない事』と言ったな。俺はそう思っちゃいない。だから、同じ部屋に入った。
「よかったろ」
コックの指から煙草を奪い、灰皿の吸殻を二本にする。頰に手を添え、こちらを向かせる。すんなりと視線を合わせたコックはまた、一瞬目を丸くした後いやらしく笑って、
「そうだな」
と、唇を寄せた。
瞼は下ろされないままだった。
20170510,0526,0527,0529
*ついこないだ書いたものだと思っていたのに、二年以上前だった。びっくり!
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