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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*書いてるうちに話が迷子になりました(いつものこと)

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 *****
      



 マストに寄りかかり、刀を抱えてうとうとしていた。直近で足を止めた気配に顔を上げる。
「お前、刀抱いて眠んのな」
 コックはぼんやりと刀に視線を遣っている。半覚醒でぼんやりと答える。
「いつもじゃねえ」
「よっぽど大事なんだな」
 視線と同じくぼんやりとした声だ。
「そりゃそうだろ」
 素気無く答えると、隣に座りこんだコックは素っ頓狂な声を出した。
「あー俺もレディを抱いて眠りたい!」
 そう言いながら、両腕は自身の胴に巻きついている。
「頼んでみりゃいいじゃねえか、ナミじゃたんまりふんだくられるだろうが、ロビンなら、ひょっとすりゃあ」
「馬鹿言え、ロビンちゃん抱き締めて、それで終われるわけないだろ」
 阿呆な事を阿呆な顔で言う。抱き締める以上の事をさせてもらえるとでも思ってんのか。
「だいたい、ロビンちゃんにそんな不埒な事、出来ねえよ」
 口を尖らせていたコックの顔は次第にだらしなく崩れていく。頭ん中でどんな不埒を働いてんだ。
「だったら諦めろ、この船に抱いて寝れるレディとやらは居ねえ」
「でも、抱き締めてえの!」
 コックは腕を大きく広げて駄々をこねた。煩くてかなわねえ。
 俺はガラ空きの両脇に腕を回し、ぎゅうと抱きしめてやった。コックは体を硬直させている。
「なっ、なに」
「抱き締めていいぞ」
「お前、レディじゃねえだろ」
「当たり前だ」
 本当に、阿呆だ。
「そんくれえ妥協しろ」
 幾許か逡巡してのち、コックの腕が俺の背に回った。促すように腕に力を入れると、張り合うように抱きしめ返してくる。阿呆だな。このまま背を撫で首筋に唇でも這わせたら、同じようにしてくるだろうか。
 阿呆な期待をしてしまう。
「不埒な事、するか?」
 冗談めかして耳元に囁く。短く息をのんで、コックは俺のピアスを揺らした。
「…どんな?」
 阿呆な期待をしてしまう。
「してえか?」
 レディじゃねえ俺と。

 刀じゃねえお前を、抱いて眠りたいなんて阿呆な望みをもつ俺と。

 ***

 抱き締め甲斐のある体だ。硬くて強くてたくましい。柔らかさや細さ弱さとは無縁の体。共に世界一になる相棒を大事に抱え込んで眠るのに、胸が痛んだ。無防備を晒け出すのに頼るもの。世界一になるのに必要な刀たち。多分嫉妬だ。馬鹿みてえ。詮無い事だ。張り合う土俵にすら上がれないのに。
 ならせめて、不埒な事は俺に引き受けさせて。
「してえなら」
 刀と同じく三本の、ピアスが揺れる。
「すればいい」
 ささやかに告げる。一瞬強張った体は、直ぐ滑らかに動いた。背中を掌が這い、首に唇が付く。柔く噛み付く口の中は熱い。
 してえのかよ、俺と。

 世界一になるのに不要なものは、全部俺に置いて行け。

 ***

 触れた唇は柔らかく、微かに震えていた。目を瞑り舌を追いながら、何を考えているのか。どうせ碌でもない事だろう。
 してえならすればいいと言うのなら、する。これが不埒などではないと、お前に分からせたい。俺はお前を抱いて眠りたい。お前がそれを良しとするなら重畳だ。不埒なんかじゃない。今はまだ、阿呆な望みだとしても。ゆくゆく分からせてやる。
 深めたくちづけに応えて、コックの体が熱を持つ。それに望みを得て、一層抱擁を強めた。


20161112,1207

 両片想い。
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