『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
*****
起きて身支度を整えて、サンジはシガーケースの紛失に気付いたが、慌てたのは一瞬だった。昨夜の行動を思い返せば、キッチンに置き忘れた可能性が非常に高い。
確認に赴けば、果たしてそれはダイニングテーブルに乗っていた。まあそんなとこだろう、と思っていた通りの場所に。
ラウンジは、微かに煙草の匂いがした。匂いが籠る程吸った覚えも無いのに、とサンジは思う。
昨夜は就寝前の一服をここでして直ぐに寝てしまったから、換気が充分じゃなかったのかも知れない。シガーケースも置き忘れたくらいだし。
サンジはラウンジのドアを開け放して、換気を促した。早朝の空気が、隅々まで清めてくれる。
起き抜けの一本を甲板ででも、とシガーケースの蓋を開けると、違和感があった。
少ない?
厳密に管理している訳ではないが(そんなもの追っ付かない程度にサンジはヘビースモーカーだ)、昨夜、残り半分、と思ったからそれより一本少ないのが直ぐ分かった。
何故?
腑に落ちないまま一本咥えてシンクをふと見ると、そこには一本の灰となった煙草と、酒瓶があった。
酒は、度数が高くて甘くない安物。サンジが昨夜、ゾロに宛てがった物だ。
ゾロが、煙草を?
煙草の形を保ったままな事から、吸ってはいない様だが、それにしても何故。
嫌がらせか。
そう思えば腑に落ちる。銘柄を指定した上に一本しか許さなかった事への当て付けか、と。
「勿体ねぇ事しやがって」
サンジは独り言ち、煙草の残骸を始末した。
酒瓶の始末もしようとネックを持つと、ぴちゃ、と僅かな水音がした。瓶の口からは酒の匂いがするし、ゾロが飲み終わった瓶を軽く水洗いするなど気の利いた事をする筈も無い。つまり音を立てたのは、ゾロが飲み残した酒だ。
「勿体ねぇ事しやがって」
ほんの一口にも満たないそれを、飲んでしまおうと瓶を己の口に近付けて、サンジは手を止めた。
ゾロが、口を付けて飲んだ酒瓶。
——何を意識する事がある?
口を付けて勢いよく傾けた酒瓶から、ゆるりと口の中に落ちた酒は、きつく、苦い。
朝っぱらだとかいう事も忘れて、サンジは酔っ払ってしまいたかった。これっぽっちの量で酔える筈が無いという事も忘れて、酔っ払ってしまいたかった。
酔っ払って、全部、忘れてしまいたかった。
20121024-
PR
この記事にコメントする
カレンダー
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
リンク
忍者カウンター
忍者アナライズ
P R