『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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深夜の誰もいないラウンジは、小さな窓から差し込む月明かりだけが頼りだ。
昼間だろうが夜間だろうが時間帯に関係無く、体が睡眠を欲する時は寝ているし、そうでない時は起きているゾロは、満月が煌々と照らす甲板からラウンジに入った。
誰も居ないのは分かっている。だから来た。
誰も? そんなものはレトリックだ。深夜のラウンジに誰か居るとすれば、奴以外にない。奴が居ないのだから、誰も居ないのだ。ゾロは、奴の気配だけが残る、この時間のここに、来たのだ。
室内に目が慣れると、ゾロはテーブルの端に置かれたシガーケースに気付いた。
それは当然クルー唯一の喫煙者である、奴の物。
珍しい。肌身離さず持っているのに。
手にし、蓋を開ける。一本、抜く。目の前で検分し、そっと、咥える。
火などつけない。煙にすれば、ただの毒だ。
鼻先を掠める匂いは、奴の空気。匂いを、臭いではなく、香りと表現しそうになる自分に、煙草よりも深い苦みを感じる。
馬鹿馬鹿しい。
ゾロは慎重に、全てを元あった様に戻した。
寸分違わず戻せたら、こんな気持ちに気付く前に戻れる、と信じているかの様に。
——無理な話だ。
ゾロは乱暴に、シガーケースを再び手にした。
自分の唾液を僅かに吸った一本を取り出し、火をつける。
煙草に火をつける動作は何度も見ていた筈なのに勝手が分からず、上手く火がつかない。勢いよく息を吸い込んだら、咽せた。
自分の口から出る白い煙を、不思議だと思う。こんなものに縋りたくなる自分を、不思議だと思う。
煙になったただの毒は、既に身の内を侵食している。
初めの一吸いで自分は摂取に向かないと判断したゾロは、一本を灰にする間、気付いてしまった気持ちの処遇について思いを巡らせた。
結論はまだ、毒の回った身の内にしか、ない。
20120827,1003,1024
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