『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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長くしたまま左に流している髪を遠慮勝ちに触る指は、水分を多く含んだ滑らかで細いものではなく、ごわごわと節くれ立っている。まるで繊細さの欠片もないその指は、サンジに自分の髪が繊細な金細工か何かかと錯覚させた。一房ゆるゆると摘み、はらりと落ちるに任せる。それが数度繰り返される間、サンジは指の主がどんな顔をしてそうしているのか、考えていた。難しい顔をしているのか、つまらなそうな顔をしているのか。馬鹿にした表情かも知れない、全くの無表情かも。よもや羞恥や照れで赤面してなどないだろうな。
きゅ、とそれまでとは一転、乱暴に髪を引かれ、サンジは痛みに眉を顰めた。すぐさま痛みを感じた地肌に指の腹が当てられる。柔々とそこを撫でられ、指先は髪の根元を掻き分け側頭部を這って行き、掌までが米神に添った後、手櫛がサンジの髪を梳る。何度も、何度も、繰り返されすっかり露になったサンジの耳介の、最も円やかな曲線に、指先とは違う温もりが触れる。それはつと動き、サンジの耳朶を挟んだ。指先よりやや温かく、遥かに柔らかい皮膚。
それが僅かでも水分をもたらしたなら、サンジはその主を蹴り飛ばしただろう。しかしそれは飽く迄乾いており、何ら性的なものを含んでいなかった。祈りにも似た静謐さで、サンジをただ慰めていた。
優しいだけの口づけは、サンジ自身忘れている遠い記憶と共鳴する。具体的な何かは一つも連れ来ないが、ただ優しさを与えられた記憶。サンジの胸の内に確かにある、温かなそれを揺り起こす。
ゆっくりと、温かさを伝える位置を変えていく唇は、サンジの耳からまっすぐ目尻へと向かった。長くも密でもないサンジの睫毛を、微かな息が揺らす。
今、目を開けたなら。
唇の主がどんな顔でサンジを慰撫しているのか、目に出来る。さぞや傑作だろう。酷く驚いた顔をするかも知れない、それをネタに暫くからかえるかも。
けれどサンジはこの温かさを、そんなものと引き換えに手放す気にはならなかった。慰撫されている、事実にも目を瞑り、好きにさせる。
頼むでもなく止めるでもない。ならば互いに、慰撫されている。
20150826,0827,1020
*なんだこれは(うたた寝サンジを見つけたゾロは予てより触ってみたかったサンジの髪をここぞとばかりに触れるうち、耳にも触れたくなっちゃったんだね、唇で。なんだそれ(恋だよ)
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