『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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適当な宿に部屋をとり、二階の五号室だってんだから階段上って手前から五個目の部屋だと思うじゃねェか、確かに部屋番号のプレートを確認したりはしなかった。ちょっとノブが固ェな、とは思ったが、まさかそれが鍵のかかった六号室だとは思いもしなかった。
目の前の光景は、俄に信じがたかった。
ベッドの上で、金髪の男が白い裸体を晒し、大柄な裸体に馬乗りになっていた。脛毛の生えた脚同士を擦り付け合う様は、異様ながらも一種艶めかしい。
突然の闖入者に向けられた金髪の顔は、よく見知っている。女好きの筈の、ウチのコックだ。ドアの前で瞠目したままフリーズした挙句、ようよう絞り出した声は、マヌケの一言。
「お前…、男もいけんのか」
よりにもよって、マヌケな一言。
コックは、苦笑を見せて、一言で返した。
「愛があるなら」
黙る訳にもいかなくて、絞り出した追加の質問は、やはりマヌケだった。
「愛が、無ければ?」
コックは短く笑う。
「願い下げだな」
「女なら?」
ああ、そんな事を聞きたいんじゃない。
「全ての女性は愛するに値するだろ」
そうだろう、この問いに対するこいつの答えがこれ以外である筈が無い。
「そいつとの間に、愛、が?」
ああ、こんな事を聞きたいんでもない。では、何を?
マヌケな姿を晒していた“男”は、闖入者たる俺に最初こそ敵意の睨みを寄越したが、一目で俺が誰だか分かったのだろう、視線を泳がせ脂汗を垂らして成り行きを見守っていた。それでも、コックの“愛”発言に気を良くしたのか、若干の余裕を取り戻した様だ。優越感を乗せた視線を俺に寄越す。俺はそれが気に喰わなくて、男を睨め付け鯉口を切った。
途端に男は散らばった衣服をかき集め、ようよう下着だけ身に着けると「俺はこれで!」と上擦った声で叫んで逃げた。
「あーあー」
コックは然もがっかりした声で俺を非難し、ベッドの上に大の字で転がった。全裸のままで。どこも隠さず。
視線の遣り場に困り、大きな音を立てて閉じられたドアに視線を流しながら言う。
「…愛が逃げたな」
「まーったくだ、なかなか良さそうだったのに」
コックは俺の精一杯の皮肉を受け流し、煙草に火をつけた。
「お前、いつまでそこに居る気?」
紫煙を吐き出すついでに、俺に冷たい声をぶつける。
「それとも」
コックは側臥し、前腕を立てて掌に頭を乗せ、俺に挑発的な視線を寄越した。
「ついでだからお前が相手してくれる?」
反応が遅れたのは致し方ないだろう。
「俺との間に、愛、が?」
コックは一瞬目を丸くしてから、かっかと笑った。
「そりゃーもう、大事な船長の大ッ事な仲間ですから?」
鼻につく言い様だった。
「愛の投げ売りか」
「バカ言え、俺はお前の事も、ちゃーんと愛してんぜ?」
喉が鳴ったのは不覚だった。
余裕綽々を崩さないコックは、それを見逃しやしなかった。
「来いよ」
淫蕩に笑って見せて、自らの隣を叩く。マットレスはなかなか上等な様だ、ぽふぽふと軽い音を立てる。動かずにいる俺に、コックは揶揄の笑顔を不満に変えた。
「来ねェの?」
ちびた煙草を灰皿に押し付け、コックは溜息と共に立ち上がる。散らばる衣服を拾い集め、裏返った下着を表に戻す。
このまま俺が行かなければ、コックはおそらく別の“愛”を探しに行ってしまう。
それは駄目だ。
しかし、このまま流されてしまう訳にはいかない。
『大事な船長の、大ッ事な仲間』だ。
「お前の“愛”は、愛じゃねェよ」
内側から鍵をかけたドアの前に座り込む。
服を着たコックは、眉間に皺を寄せて溜息を吐いた。
「お前何言ってんの?」
それには答えず、ただじっと睨む。
コックはもう一つ大きな溜息を吐いて、“愛”のハントを諦めた様だった。折角着たスーツの上着を脱いでイスの背に投げる。
「教えてくれる気もねェくせに」
ベッドに寝転がって呟かれた小さな声は、聞こえない振りで目を閉じた。
20140516,0611,0622,0820
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