『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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和道一文字がくいなの形見で、くいなが女だと知った時のサンジは、ちょっとどうかと思う様な動揺を見せた。
咥えていた煙草が床に落ち、それがそこを焦がしたのをゾロが指摘するまで、目を丸くして、虚空を見詰めていた。
ゾロの指摘に慌てて火を揉み消したサンジは、ぼそりと、聞き取りづらい声で言った。
「好きだったのか?」
「そりゃあ、な」
サンジの眉は情けなく垂れ下がるかも知れない、と思ったゾロの予想は外れ、サンジの表情は何も現しはしなかった。
ゾロはそれに虚を衝かれる。
「お前の思う様な好き、じゃ、ねェぞ?」
声に懇願でもする様な色が出てしまって、ゾロはすっかり狼狽えた。
サンジは一瞬俯いてから、ゾロに笑顔を向けて言った。先程までの動揺は、微塵も感じさせない、何かとても空っぽな。
「何だよ俺の思う好きって」
「例えば、俺がお前を好いてるみたいな」
「それは、俺には分からねェな?」
「お前が、俺を好く様な」
「お前それ、どんな好きか、分かんのか?」
「そりゃ、」
言いかけて、ゾロははたと困った。
何と言い表せば良いのか。
くいなが男だったら、サンジは動揺を見せなかっただろう。そういう意味で。しかし。ならば俺達の関係は何だと言うのだ、男同士だというのに。
欲を吐き出す相手。それだけなら、余程話は簡単だ。
お前が欲を吐き出す相手は、自分であって欲しい。欲を吐き出し合いたい。お前とだけ。
そう、互いに思っていたかった。
くいな相手にそうしたいなど、思った事は無い。なにせ吐き出す欲を持つ前に目の前から消えてしまった。では、くいなが生きていたら?
実現する可能性の無い仮定の話など、何の実も無い。
それでも、俺が求めるのはお前だ、と。
ゾロは言いたかった。
言葉にならなかったから、黙ってサンジを抱き締めた。
「ヤるのに都合の良い相手?」
意地悪な響きの声が、耳の後ろから聞こえた。
「お前がそう思ってるなら、俺は残念だ」
思ったまま言ったゾロの耳の後ろを、そっとした息が撫でる。
「同感だな」
「だったら、分かってんだろ」
「うん…それでも、動揺しちまうんだよ」
サンジはゾロの肩に額を擦り付けて言った。
「俺は、恋をしてるから」
そうか、これを恋と呼ぶのか。
ゾロは今度こそ言えた。
「俺は、お前と恋をしている。——サンジ、」
二度と空っぽな笑顔などさせない様に、言葉を継ぐ。
「最初で最後だ」
20140220
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