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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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 手首へのキスは、欲望を意味すると聞いて。

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 ダイニングテーブルで書き物をしているサンジの左手は、リズムを取る様に軽くテーブルを叩いている。右手には羽根ペン。口元には煙草。小さい声で紡がれるのは、調子っぱずれの鼻歌。
 今夜、サンジは機嫌が良いらしかった。

 ラウンジに入ったゾロは、何の注釈も無くサンジの左側に座ると、サンジの左手を取った。
「なにすんだよ?」
 剣呑な疑問符には応えず、ゾロはサンジの左手を指の一本、皺の一本、確かめる様に辿る。
「なにしてんだよ?」
 戸惑う疑問符にも応えない。
「おい、」
 動揺する牽制に、初めて視線を合わせたゾロは、様子がおかしかった。
「この手が…」
 そう言いながら、サンジの左手を自分の口元へと運ぶ。抵抗を忘れたサンジに出来たのは、ゾロが何をするのかを見る事だけだった。
 ゾロが視線を合わせたまま、口を開く。舌を出す。サンジの左掌を、指を、舐める。
 熱く湿った肉の感触に、サンジは震えた。
 最後にゾロは、サンジの手首の内側に、ちゅ、と音を立てて口づけた。

 ——欲望。
 ラブコックたるサンジは勿論、部位毎に異なるキスの意味を知っている。
 しかし、魔獣たるゾロはどうか。
「てめぇ、どういうつもりだよ」
 サンジは正視に耐えず、目を逸らして問うた。
「…あぁ、悪ィ……嫌か?」
 ゾロは、逸らされた目から一向に視線を逸らさない。それを視線の外で感じるサンジは、居た堪れなかった。
 行為自体に嫌悪を感じないからこそ、居た堪れない。その意図が分からないのが不快なだけだからこそ、居た堪れない。

 無垢に機嫌の良い夜は、消えてしまった。
 残ったのは、正体の分からないどろどろとした疑念と、欲望。
 自分はどこかでそれを待ち望んでいた様な気さえして、サンジは益々居た堪れなかった。



20120807,0815

 ゾロが何をしたかったのかは、本人にも分かってないと思うよ。

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