『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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多少の後ろめたさでもって背を向け通した一日の終わり。サンジは背中でゾロの声を聞いた。
「どういうつもりだよ」
「何の事だよ」
「昨晩」
昨晩。丁度目の高さにあるハンモックで、存外きれいな顔をして眠るゾロの唇に。サンジは、己の唇を触れさせた。
知らない筈だろう?
ほんの一秒、乾いた皮膚同士が触れただけだ。
起きなかったじゃないか。目も開けなかったじゃないか。身動ぎもしなかったじゃないか。
背を向けていたから表情に現れた動揺には気付かれない筈だ、声にそれが現れない様にサンジは注意を払った。
「何の話だ」
「しらばっくれるつもりか」
「だから何の!」
正しくしらばっくれるつもりで勢いよくゾロに振り向いたサンジの唇に。ゾロは、己の唇を触れさせた。
それはほんの一秒どころではなく、乾いた皮膚同士が触れたどころではなく、ゾロは離すつもりが無いと主張する様にサンジの後頭部に添えた掌に強く圧を掛け、唇を押し付けている。唇だけでなく、舌を捩じ込み唾液を送り込む、濃厚な。接吻を。
勢いその舌の動きに応え、酸欠かぼうっとした頭の隅でぼんやりと、本当にぼんやりと、サンジは考えた。昨晩の己の行為の意味を。今交わしている接吻の意味を。
「てめえがどんなつもりでも」
ようやっと離したその唇で、ゾロは告げた。
「俺はこういうつもりだ」
視線が、交わる。熱烈な接吻を交わしたばかりのゾロのそれは、酷く切羽詰まっていた。
「覚悟しとけ」
告げられる言葉も、宣戦布告めいていて。
だからサンジは言われた通りに覚悟した。それは、ゾロのさせたい覚悟とは違うかも知れない。ぼんやりとした考えは実を結ばなかった。そんなものは、これからで良い。
どうして唇を触れさせようと思ったか? 知っていたゾロが何もアクションを起こさなかった理由? どうして接吻を受け入れ交わしたか? 不快感の沸かない理由? どうしてゾロの声はその言葉と裏腹に不機嫌を滲ませないか?
そんなものは、疾っくに。
言語化より早く、心が知っている。
それさえ分かれば。覚悟も何も。
サンジは諾と答える代わりに、ゾロに贈られたのと同じ接吻を返した。
20130820,0821
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