自覚 2012/08/14__01:00

自覚さえしてしまえば、潔いだろうと思う。

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　なんだこれは。

　深夜の甲板でひとり、酒を飲んでいると、キッチンからつまみ持参でコックがやって来た。酒を奪取された。ぐいぐい飲んだコックが正体をなくした。
　で。
　俺は今、コックに抱きつかれて、熱烈な接吻を受けている。

　コックの女好きは、病気だと思っていたんだが…こいつのシュミは、こっちだったか。
　と思ってみて、コックの自己犠牲を思い出した。
　こいつはひょっとして、自分の気持ちよりも、俺の気持ちの方を優先させているのでは。
　と思ってみて、いやいやいやと首を振った。俺の気持ちたぁ何の事だ。

　実際には首を振る事は叶わなかった。頭部はコックにしっかりホールドされている。唇をぎゅうぎゅうと押し当てられ擦り付けられている。突き飛ばして拘束を解く事は出来るだろう。しかしまあ、折角なんで。

　折角？
　…。

　もやもやと掴み所のなかった想いが、はっきりと自覚された。
　だったら、迷う事などない。

　俺はコックの接吻に、濃厚な返礼を施した。

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20120427,0814