『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*現代パラレル(本屋バイトゾロ×客サンジ)
本屋さんで、漫画はビニールで覆われています。その冒頭部分のビニールが外され、立ち読みが出来る様になっており、残りのビニールに覆われた所も読みたかったら買ってね、ってなってる試し読み用の本がありますね。あれを思い浮かべていただきたい。説明下手でごめんなさい。
本屋さんで、漫画はビニールで覆われています。その冒頭部分のビニールが外され、立ち読みが出来る様になっており、残りのビニールに覆われた所も読みたかったら買ってね、ってなってる試し読み用の本がありますね。あれを思い浮かべていただきたい。説明下手でごめんなさい。
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平日の昼間、金髪の男が来店した。何度か見た顔だ。きょろきょろと回りを気にしながら、少女漫画コーナーに入って行った。あからさまに怪しい。すわ万引きか、と注意して見ていると、男は棚を物色し、きょろきょろと回りを気にしながら、一冊の試し読み本を手に取った。万引きなら隣に並んでいるビニールに包まっている方を手にするだろう。男が少女漫画を読むなんて、と考える、頭の古いタイプの男か。
先程まで執拗に回りを気にしていたのを忘れた様に、男は真剣に頁を捲っていった。時に頬を弛め、時に眉間に皺を寄せ、そして試し読みの為に捲れる様になっている最後の頁まで読み、男は——涙を一筋零した。
放心した様にぱたんと本を閉じ、棚に戻す。隣の、同タイトルに指をかけ、それを引き抜いてレジに持って来るのかと思ったら、一つ溜息を吐き、その手を空のまま顔に持って行って涙を拭い、きょろきょろと回りを気にしながら、足早に店を出た。
買わないのかよ。
男の立っていた場所に行き、男が購入を止めた本を手に取る。
「ロロノア君、一割引で買っていいからね。店員特典。でも、お友達が来たからって一割引にしてあげちゃ駄目だよ、内緒だからね」
本なんて、図書館で借りれば充分だ。或いは古本で。本屋でバイトしておいて何だが。
俺は初めて店員特典を利用した。
レジを一割引で打ち、財布からレジに金を移し、カバーを厳重に掛けてカーゴパンツのポケットに押し込む。
俺は、男が少女漫画を読むなんて、と考える、頭の古いタイプの男だ。
休憩時間に、バックヤードで本を開く。あの男がどこで頬を弛めたか、眉を顰めたかは分からないが、涙を流した所は分かる。
ここで泣く男か。
男が読めなかったその続きを読む。
最後まで読ませてやりたいと思った。
翌日も金髪の男は来店した。
また少女漫画コーナーを覗くが、生憎今日は先客が居た。本来の対象、少女が数人。
男は諦めた様に店を出た。折しも俺の休憩時間だ。後を追い、外に出た所で男の腕を引いた。男はぎょっとした顔で俺を振り返った。
「な、に?」
「やる」
俺は昨日の、カバーを掛けたままの本を差し出した。
「なんで、ってか、なに?」
「もう読んだ」
と言ってぐいと押し付けると、男は本を開いた。
「あ」
昨日試し読みして泣いた本だと分かったらしい。忽ち頬が朱に染まる。
「最後まで、読め」
俺はそう言って、踵を返した。
男がそれをどうしたかは、知らなくていいと思った。
翌日も男は来店した。
きょろきょろと辺りを窺い、少女漫画コーナーに入るのかと思いきや、俺を見つけて駆け寄って来た。
「昨日はどうもありがとう。読ませてもらった。本返すか、代金払うか、してぇんだけど」
「やったもんだ、要らねぇ」
「でも…」
「お前に最後まで読ませたかったんだ。お前が喜んだんなら、それで良い」
男は考える顔をした。明らかに納得していない。
「どうしても、って言うなら、名前、教えろ」
「…サンジ」
「そうか、俺はゾロだ」
「俺の名前に、420円の価値はあるか?」
「店員は一割引だから、378円だ、あ、内緒だった…誰にも言うなよ?」
男——サンジは、堪えきれず、といった風に笑った。
「俺、三軒隣でコックやってんだ。食いに来いよ、おまけしてやるから」
「378円分か」
「いや、——俺の作った料理、お前に食わせたいんだ」
息が止まるかと思った。
「お前、最後まで読んだんだろ?」
「お前、最後まで読ませたかったんだろ?」
サンジは笑う。
「ああ、そうだ」
俺は、最後まで読んで欲しかった。
本屋の店員に恋をした客が、その店に毎日通う。
サンジの涙が零れたのは、本屋に恋人が居ると客が思う場面。結局それは勘違いで、本屋も客に恋をしていた、という、陳腐なラブストーリー。
ラストは、想いが通じた客が本屋に手作り料理を食わせる、という、陳腐なハッピーエンド。
端から見れば陳腐だろうが、当人に取っては、唯一無二の。
20130712,0714,0801
本屋さんで試し読みしてうっかり泣きそうになって、ここで私が涙を零したら、そして私がサンジ君だったら、それを目撃した店員であるゾロは恋に落ちるに違いない、と思ってがしがし書いた。取り敢えずなんでもゾロサン変換する。楽しい。
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