謝罪の記憶 2013/05/03__00:00

＊バラティエ時代を思い出すサンジ

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「てめぇは素直に謝れねぇのかっ！」
　ゾロの怒号に、思い出した。
　そういえば。
　ガキだった俺は厨房で、沢山ミスをやらかした。けれど、謝った記憶は、無い。謝罪の言葉が俺の口から出る前に、ジジィが俺を蹴飛ばしたから。
　ジジィは俺に、謝らせなかった。
　謝っても謝りきれない罪を抱えた俺に、決して謝罪の言葉を吐かせなかった。

　ジジィは俺に、謝る隙を与えなかったのか。
　発見だ。
　遠く離れてから、気付くなんて。

「てめぇ、なに笑ってんだ…」
　ゾロが毒気を抜かれたみたいな顔で、失笑した俺を見ていた。
「いや…ちょっと思い出しただけだ」

「悪かったな」
　それに気付かせてくれたゾロに、俺は感謝した。だから。
　俺は謝罪の言葉と共に、すれ違い様ゾロの頭を撫でてやった。
　背後でゾロが言葉を失くしている。泡でも吹いているかも知れない。でも今はそんな事どうでも良い。

　ジジィは息災だろうか。
　バラティエにも繋がっている空を見た。そして、バラティエと、オールブルーにも繋がっている海を、見た。

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20130414,0428

【失笑】［名］(スル)思わず笑い出してしまうこと。おかしさのあまり噴き出すこと。「場違いな発言に―する」dictionary.goo.ne.jp › 国語辞書