年上の女 2013/04/24__00:00

＊ウソロビ

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「長鼻君…」
　微かに掠れた声で、ロビンは俺を呼び、体に巻き付けていた白い布——シーツから手を離した。
　重力に従って、シーツは床に落ちる。音も無く。
　現れたのは、一糸纏わぬ、裸体。ヴィーナスもかくや、完璧な、美。そして、——エロス。
　ロビンの美しい手が俺に伸びて、ロビンの美しい指が俺に触れて、そして——。

　という夢を見てしまったので、俺は今朝からロビンと目を合わせられないでいる。
　今もこそこそ甲板を逃げ回っている。いや別にロビンが俺を追い回している訳ではないのだけれど。ロビンの姿が見えては、その視界に入らない様に移動を繰り返している。
　何度目かの逃亡を企てた時、ロビンと目が合った。
　途端に、夢の中のロビンがフラッシュバックした。
　やばい。
　俺はあからさまな避け方をした。
　そして。
　俺は呆気なく捕縛された。甲板に咲いた無数の腕に。ロビンの、美しい手に。

「今朝から長鼻君は私を避けているわね。どうして？」
「いやあの気のせいではナイデスカ」
　顔を逸らして答えれば、顔をぐっと拘束されて、じっと目を見られる。
　眼球だけをぐるりと逸らしても、同様だ。
「どうして？」
　ロビンの声は穏やかだが、きっとこいつは暗殺だって笑顔で出来るんだ。

「あのなロビン、俺は男の子なんだよ、若いの。その、女に免疫無えの。でな、お前のその…ボディは少々目の毒だったりする訳だ誠に遺憾ながら」
　ロビンは俺の剣幕に目を丸くしている。一回りも年上の女に可愛いなんて感想は失礼かな。醸し出す雰囲気の成熟と、余りにアンバランスな表情が俺の情動を危うくする。
「若い男の子だから、おかしな夢を見ちまう事もある訳。それを引き摺っちまう事も、現実とごっちゃにしちまう事も、ある訳。分かる？」
「ええ。つまり長鼻君は、淫夢を見た訳ね？」

　いんむ、って淫夢か！淫らな夢か！確かにえろかった。ロビンえろかった。昼間の甲板なんて健全な場所でも思い出しちまえばむずむずしちまうくらいに。
「長鼻君は、私に、何をしたの？それとも、私が、長鼻君にしたのかしら？」
　ロビンの顔が、鼻先に付きそうな程近付いた。
「してみて？」
　は？
「男の妄想ナメンなよ？こんなとこで出来る様な事じゃねえ」
　精一杯強がれば。
「じゃあ、どこで？」
　一層近付いた顔が言う。ボディに見合った、妖艶を纏って。
　くらくらした。ままよ、とロビンに飛びかかった俺を、誰が非難出来ようか。

　という夢を見てしまったので、俺は今朝からロビンと目を合わせられないでいる。

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20130119,0124,0409

　まさかの夢オチ！

＊ウソップ君、ロビンちゃんと君との年齢差は11歳だよ（0430、過ちに気付く。ウソップの所為にしてしまえ。（ごめん）