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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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・現代パラレル
・新聞販売店勤務ゾロ、顧客サンジ

前回:12月24日付
初回:8月26日付

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 *****
      


32

 どうやら俺たちは同じ気持ちだったらしい。
 胸が急速に喜びで満たされた。けれど、それでも遠く離れる事には違いない。
 これからどうしたら良いのか、サンジはどう考えているのか、窺う様にサンジを見る。

「岡山と東京は、遠いけどさ」
 サンジが、店で渡した茶封筒に重ねて名刺の様な物を差し出した。
 青地に白抜きで『パティスリーバラティエ』、その下に、住所が二つ。

 本店:東京都——区—— ——
 支店:岡山県岡山市—— ——

「俺が助っ人に行ってた支店、そこ。そんでさ、今度、俺、支店長になんの」
 サンジがにっかり笑う。
「岡山も広いだろうけどさ、東京とよりは——」
「近所だ」
「え」
「俺ん家、市内」
「え」
 サンジが目を丸くする。
 その様子がおかしくて、思わず笑みが零れた。


「もう、新聞屋さんと客じゃない」
 そう言って、サンジが、笑った。
 その顔は、いつか見た様にやっぱり花の様で。
「菓子屋と客か?」
 俺は精一杯笑ったつもりだったけれど、多分失敗していた。泣きそうだ。
「俺は、お前から金取る気はねえよ。だから、客じゃねえ。お前と俺は——、ただの——男、と、男、で——」
 言い淀んだサンジの後を引き取り俺は言った。
「お友達、ってのは、今更だよな?」
「そりゃ今更だ! ——もうちょっと、その、近しい感じで…」
 サンジはちょっと頬を赤くして、目を逸らした。俺はいよいよ泣きそうで、そんな顔は見られたくなかったから、そっとサンジの頭を引き寄せて、俺の肩に乗せた。
 これでサンジの視界は塞げたけれど、俺がサンジの顔を見る事も出来ない。それは如何にも惜しい様な気がしたけれど、サンジの腕がそっと俺の腰に回ったから、サンジの顔を見るのはまたの機会で良いかと思った。

 もう、会うのに、会いたい以外の理由は要らないのだから。

(完)


-20121221

 長い間お付き合い頂きありがとうございました。
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