『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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32
どうやら俺たちは同じ気持ちだったらしい。
胸が急速に喜びで満たされた。けれど、それでも遠く離れる事には違いない。
これからどうしたら良いのか、サンジはどう考えているのか、窺う様にサンジを見る。
「岡山と東京は、遠いけどさ」
サンジが、店で渡した茶封筒に重ねて名刺の様な物を差し出した。
青地に白抜きで『パティスリーバラティエ』、その下に、住所が二つ。
本店:東京都——区—— ——
支店:岡山県岡山市—— ——
「俺が助っ人に行ってた支店、そこ。そんでさ、今度、俺、支店長になんの」
サンジがにっかり笑う。
「岡山も広いだろうけどさ、東京とよりは——」
「近所だ」
「え」
「俺ん家、市内」
「え」
サンジが目を丸くする。
その様子がおかしくて、思わず笑みが零れた。
「もう、新聞屋さんと客じゃない」
そう言って、サンジが、笑った。
その顔は、いつか見た様にやっぱり花の様で。
「菓子屋と客か?」
俺は精一杯笑ったつもりだったけれど、多分失敗していた。泣きそうだ。
「俺は、お前から金取る気はねえよ。だから、客じゃねえ。お前と俺は——、ただの——男、と、男、で——」
言い淀んだサンジの後を引き取り俺は言った。
「お友達、ってのは、今更だよな?」
「そりゃ今更だ! ——もうちょっと、その、近しい感じで…」
サンジはちょっと頬を赤くして、目を逸らした。俺はいよいよ泣きそうで、そんな顔は見られたくなかったから、そっとサンジの頭を引き寄せて、俺の肩に乗せた。
これでサンジの視界は塞げたけれど、俺がサンジの顔を見る事も出来ない。それは如何にも惜しい様な気がしたけれど、サンジの腕がそっと俺の腰に回ったから、サンジの顔を見るのはまたの機会で良いかと思った。
もう、会うのに、会いたい以外の理由は要らないのだから。
(完)
-20121221
長い間お付き合い頂きありがとうございました。
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