同衾 2 2012/12/06__00:00

11月1日付『同衾』続編
受難ウソップ

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　ハンモックってのは、意外と丈夫なんだなあ。
　ウソップは感心している。立派な体格の男二人が収まってもしっかり用を足すとは。メリーさん、あなた設計士としてもやっていけるよ、自信持って！
　然し乍らウソップは、出来れば知りたくなかったそんな事、と思っている。
　ゾロとサンジがでかい体を縮こめてぎゅうぎゅうと一つのハンモックで寝ている姿など、見たくなかった、と。

　懐かしい夢を見て、ぽやんとした気持ちで目が覚めたのだ。にんじんとピーマンとたまねぎが笑ってた。あいつら大きくなったかなあ。カヤも笑ってた。みんな元気そうで良かった。そこまでは幸せでしかなかった。ぼんやりと開けていく視界が隣のハンモックの不自然な形を捉えるその時までは。自分のハンモックより明らかにたわんでいる。
　そりゃゾロは俺より遥かに重いから当たり前っちゃあ当たり前なんだが、それにしたって沈み過ぎだ。床に着きそうじゃねぇか。
　で、毛布からはみ出る緑の髪の奥に、金の髪を見たのだ。
　なんで。
　顔を合わせれば喧嘩してばかりの二人が、なんで同衾してるの。

　別に、いかがわしい事をしている様子はない。二人共健やかに眠っている。
　だったらなんで。
　同衾ってのは、いかがわしい事をする為にするんじゃないの。
　え、事後？
　つっても、そういう淀んだ空気も無ぇしなあ。こりゃ、単純に二人で寝てるだけ？
　…だから、なんで。

　気になって仕方ない。正解は、当人達に聞くより他無いのだろうけれど…どちらに聞いたら命だけは無事で居られるだろうか。
　多分。どちらに聞いても、命の保証は無い。
　ウソップは「触らぬ神に祟りなし」という成句を思い出した。
　好奇心には死んでもらおう。命より大事な物などありません。

　ウソップは決意して、毛布を頭から被り、固く目を瞑った。

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20121028,1101,1128,1204

　受難パターンB：うっかり気付いちゃう
（『杞憂』のウソップはこのパターン）

　ちょびっと大人で、不憫なウソップが大好きだ。