『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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名前を呼び合ってから一ヶ月。
302号室のドアポストに新聞を入れる度、頬が弛むのを自覚している。
今月も、月末が来る。集金業務で、サンジに、会う。上手く呼べるだろうか。サンジ、と。
チャイムを押す。
「こんばんは、青海新聞です、集金に伺いました」
業務は業務だ。いつもの通りに。
ドアを開けたのは、サンジ、では無かった。
厳つい爺さん。
誰だ。
「お幾らですか」
若干嗄れた、迫力のある声が言う。
「…三千、925円になります」
「じゃあ、これで」
見覚えのあるサンジの財布から、五千円札を抜き出して手渡される。
「千円と、75円、です」
お釣りと領収書、サービス誌と新聞袋とゴミ袋。いつものセットを手渡す。
「ご苦労様」
「ありがとうございました」
頭を下げている間に閉められたドア。
誰だ。
サンジの、父親か、親類か、それとも?
冷や水を浴びせられた様な気がした。浮かれるな、と忠告を受けた様な気がした。
いつもサンジが居る訳じゃない。来れば必ず会える訳じゃない。思い知らされる。
名前を呼ぶ事を許されたくらいで。何も、特別じゃない、と。浮かれていた、と。
思い知らされる。
サンジはお客様で、俺はただの新聞屋だ、と。
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