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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*疑問なんですけど、「膝枕をする」のって、膝を枕として提供する側ですか?人の膝を枕として利用する側ですか?(当然両者が揃わなきゃ成立しないんですけど、「膝枕してやるよ」と言った場合、あなたの膝が枕になってくれるの?私の膝を枕にしてくれるの?ってこと)(腕枕の場合はどうだ?)そして、膝じゃなくて腿じゃない?(いずれにせよ、主題とは関係ありません)

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 月明かりが波間をぼうと照らす夜だった。さらりとした風は辛口の酒に良く合った。酒だけでも俺は満足していたが、それを良しとしないコックはお節介にも肴を配達してきた。ご丁寧にもグラス持参だ。図々しくも俺の酒を横取りする気だ。まあ、コックの寄越す肴が酒を引き立てるのは否定しない。トレードとして適切な量をコックのグラスに注いでやり、共に肴をつまんだ。
 酒も肴もあらかた胃に収まり、月もだいぶ傾いた。
 コックはおもむろに、ごろりと俺の腿を枕に寝転んだ。
「おい」
 咎めるが、コックは目を瞑ったまま後頭部を擦り付け、収まりの良い場所を探した後、頭を落ち着けて言った。
「膝の一つや二つ、ごちゃごちゃ言うなよ、ケチくさい」
 そう言われてしまえば、それ以上の抗議は憚られた。まあ確かに、膝の一つや二つ、どうと言うこともない。
 振り落とされる事もないと判断したか、コックはにんまりと笑顔を作って、そのまま深い寝息に移行した。のんびりとした夜風が、コックの長い前髪を揺らしている。
 いつも目の前に髪が揺れていて、邪魔ではないのだろうか。
 指は自然となびく髪を梳いていた。ほんのりと体温を感じた指先を滑らせると、ひやりとした髪がさらさらと落ちる。
 その落差が楽しくて、何度も繰り返す。
 腿にかかる重みがぐんと増した。すっかり寝入りやがった。
 気を、許されている。

 ただ同じ者を頭と定め、同じ船に乗り合わせただけの縁。生きる甲斐も行く目的も重ならず、趣味も嗜好も違う。いがみ合いがなり合う日々。それでも、ひとたび有事とあらば、信頼して共に戦える。それも有事たらばの事。だから、こうして一つ月の下、穏やかなひとときを持てるなど、思いもしなかった。
 許されるままに、髪を梳く。
 どういったつもりで、許しているのか。どういったつもりで、し続けているのか。
 眠っているから、気づいていないだけだろう。気づかれていないと思うから、し続けられる。
 指から零れ落ちる髪のささやかな音を、惜しく思っていると気づいてしまえば。そう思っていると知られでもしたら、こんなひとときは二度と得られないかも知れないと。それをおそれているなどと。

 海へと近づき続ける月は、依然鈍く波間を照らすのみだ。やがて遠くから朝日が昇り、月の明かりなど消してしまう。また騒々しい日が始まる。
 せめてそれまで、気づかぬままで。


20170701,0704,0711,0713

*信じ難い感情が自分に生まれていると気づく瞬間なんかが好きで。
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