『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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緩やかな風の吹く甲板で、何の名目か宴が開かれていた。騒ぎ食べ飲み、ふらふらとした足取りで一人、また一人と船室へ消え行き、今は一人手酌で月見酒となっていた。
随分前に空いた食器と退場した筈のコックが、ゆったりとした足取りで甲板に戻った。ぐるりと辺りを見回し、更にゆったりと俺の前に歩み出たコックは、胡座をかく俺の腿に跨がった。
「重い」
「嘘つけ」
コックの胸元に向けて放った抗議は、頭上から軽く往なされた。
コックは徐に持ち上げた右手指四本を俺の顎先に当て、僅かに上を向かせて固定した。浮いた親指の腹で俺の下唇を撫でた。指先はぞっとする程冷たかった。対照的に、腿に感じる重みは酷く熱かった。
コックの背が折られ、顔が近づいた。瞬きさえもが徐だった。
「抵抗、しねえの?」
唇が触れる直前、囁かれた。
「てめェに、何ができんだよ」
我ながら分かり易い挑発だ。
互いの声が微かに掠れて震えているのは聞こえない振りをした。唇を合わせる口実は揃っているのに、そんな事実は邪魔なだけだ。コックの息から酒精が香るのも邪魔だが、コックには必要だったのだろう。指摘はしない。しないが、唇が触れたが最後、酒の所為になどはさせない。
じりじりと唇が近づくのに、小さく声が届いた。
「恋」
思わぬ単語に、知らず動きが止まる。
「でもするか?」
笑んだ雰囲気には自嘲も混じる。返す言葉など一つきりだ。
「そんなものは、とっくに」
徐にも。
唇はふつりと合わさった。
20160829
*誤用の勢い著しい言葉の一つですけれど、どっちでも構わないつもりで書きました。
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