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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*ゾロ誕記念2015(一体如何程のネタ被りが存在するのやら。しかしこの日が誕生日であるからには一度はやりたい。という訳で、いろいろお目溢し願いたく。)(でも誕生日とは関係ない話です。)

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 *****
      



 深夜の展望台。見張り番に夜食を届けるのが、本日の俺の仕事仕舞いだ。

 窓辺に座ったゾロが、指で摘んだ細長いもんを矯めつ眇めつしている。細長いプレッツェルに、チョコレートを掛けた菓子。あいつなんであんなもん持ってんの。
 こちらに気づいたゾロが、指先の菓子をふらふら揺らして見せながら、言う。
「お前これでやるゲームって、知ってるか」
「は?ゲーム? そんな事より、俺はお前にそんな食いもん与えた覚えはねえぞ?」
 この船上に於いて、俺の管理しない食物が存在するとは忌々しき事態だ。
「ウソップが、ゲームの道具だ、って寄越した。お前なら知ってるだろうって言ってたが、どうやんだ?」
「え…」
 ポッキーゲームの事だろうか。俺はこれでやるゲームを他に知らない。
 ゾロは俺をじっと見ている。俺が当然知っているものと思っている。まあ知ってるけど。俺がお前に教えるの?
 周囲を見渡す。当然他の誰もいない。誰に見られる事も無い。二人きりの空間。
 一つ小さく溜息を吐いてから、諦めた。ウソップの野郎、後で覚えてろ。

「先ず、先端を咥える」
 ゾロは素直に言われた通り、先端を咥えて二の句を待っている。
「で、相手がもう片っぽを咥えて齧り合う。先に離した方が負け」
 ザッツオール。ってつもりで両手を広げて肩を竦めてみせたってのに、ゾロは器用にも唇を動かして、咥えたポッキーをふらふらと揺らす。まるで当然俺がもう片っぽを咥えるものと思ってるみたいに。
 実践、するの? 俺と?
 チョコレートが唇の熱で溶けて、ゾロの唇を茶色く汚している。唇の間には湧いた唾液がちろりと光る。
 俺は恐る恐る顔を近付けた。座っているゾロの顔に、腰を折って、ゆっくりと。ゾロはふらふらさせていたのを止めて、じっと待っている。じっと、射るような視線で俺を見上げている。
 自分の顔より下にある物に顔を近付けるとなると、視線が下がるのと同時に自然と瞼が下りる。唇をほんのりと開ける。ポッキー一本を咥えられるだけの隙間。瞼が完全に閉じる間際、そっと唇で挟んだ。まだ、チョコレートの味はしない。

 ぼり。ゾロがゲームを始めた音で、俺の瞼は上がった。そうだ、これは目を開いてなきゃ駄目だろ。今なら丁度、俺とゾロの視線は水平だ。10cm程先をぎ、と睨みつけると、同じ強さの視線が返る。ゲームと言えど、勝負だもんな。
 ふわり、甘いチョコレートの匂いが鼻先を掠める。ぼりぼり、と音が進んでくる。ぼり、とプレッツェルだけの味。ぼりぼり。ぼり、唇に柔らかな感触が到達する。ぼり、と進める事に躊躇していると、唇の熱はチョコレートを溶かす。ぬるりと上唇が滑る、唾液が下唇を濡らす。ぼりぼり、ぼり。口の中は甘いチョコレートと細かく砕かれたプレッツェル、そして過多な唾液。鼻先を掠めるのは、微かな鼻息。焦点は合わない。睫毛が触れる。
 ぼり。
 唇に、何か。

 反射で距離が開く。
 20cm程先のゾロは、もごもごと口を動かしている。その唇には、まだチョコレート。俺ももごもご、口の中を空にする。唇を舐めれば、やはりチョコレート。
「どっちも離さなかったら、どっちが勝ちだ?」
 綺麗になった唇に、視線が引き付けられる。あれが、触れた?
「さあ? 多く食べた方じゃねえの」
 視線を引き剥がして、言う。ぬ、と突き出されたのは、チョコレートの溜まった先端。
 まだ、やるの?
 先端が押し込まれる。歯に当たったかと思うと、ゾロは俺に顔を寄せ、プレッツェルの部分を唇に挟んだ。
 ぼりぼりぼり。
 さっきより勢いよく齧られる。俺より多く食うつもりかよ。
 ぼりぼりぼり。
 瞬きする間もなく縮んだ距離、鼻息を感じるより睫毛を感じるより早く、触れた。

「俺のが多かったな」
「馬鹿言え、俺のが多い」
 もごもごしながら言い合う。不意に、ゾロが何か閃いた顔をして、顔を引き寄せられた。出し抜けに唇が触れ、口の中の菓子をゾロの舌が攫っていく。
「俺の方が多く食った」
 然も自慢げに。何言ってんのお前。お遊びの事故で唇が軽く触れただけならまだしも、お前、今のは。
 言葉を失っている俺に、ゾロは再び顔を近付け、唇のチョコレートを舐めていった。
「何間抜けな顔してんだよ」
 お前、…お前。自分が何してるか、分かってんの?

「…あと何回勝負出来んだよ」
「あー…20、本」
 ゾロは袋の中を覗き込み、数えた。
「あと20回だな」
 ゾロは呆けた顔をした。
「不服かよ」
「いや? 俺もそうしたいと思ってたとこだ」
 ゾロは悪辣に笑った。

 都合22回、プレッツェルとチョコレートに塗れたキスをした。
 23回目からは、媒介する物は何もない。
 残されたのは、空になった袋と、抉じ開けられた某か。
 ゲームなんかじゃ、ない。

「食いもんで遊ぶなって、怒ると思ったけど?」
 俺の唇奪っといて、ただのゲームで済むと思うな。俺が慎重に仕舞ってた欲を暴きたてたんだ、遊びでなんか、終わらせねえよ。
「遊びじゃねえからな」

***********

 知ってたけどな。酒場じゃ定番のお遊びだ。ウソップには今度何か奢ってやろう。

 避けてきたチョコも食べ方次第だ、と、ゾロは少し腫れた唇で夜食を口にした。



20151103,1109,1110,1111

*ポッキーは、いろいろお察しした「しちまったんだよコノヤロー!」ウソップさんからのプレゼントでした。美味しいもの奢ってもらってください二人から。

*ゾロさんお誕生日おめでとうございます。無事の再会をお祈りしています。切実に。
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