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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*少し未来を想定

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 *****
      



「なあ」
 擦り寄りながら出した声は、思うより甘く響いてしまった。
「ん?」
 と少々目を見開いたサンジは、俺の多少気まずい心情を察知したかすぐさま「うん」と柔らかく笑んで見せた。

 最近はのんびりした航海で、夜間は錨を下ろしている。特段見張りも必要ないが、何となく、昼夜関係なく眠れる俺が見張りのつもりで起きている事が多い。サンジは一日の仕事を終えると、ちょっとしたつまみと酒を俺に差し入れ、ついでに自分も一杯引っ掛けてから休む。大抵は船室で、時にはそのまま俺の傍らで。その場合休めているのかは怪しい所だ。少なくとも俺は心地良い疲労を得る。翌朝キッチンに立つサンジは欠伸をかみ殺し時折腰を叩いたりしているから、束の間気を失う様にして休むだけでは足りないのだろう。それでも、引き止めずとも船室に戻らない夜があるのだから、俺は何も心配しない。お互い、必要なのだ。
 今夜は俺の方が先に、必要と気づいてそれを表明した。

 サンジの米神の当たりに額を擦り寄せる。サンジは柔らかく息を吐きながら同じ様に俺の額に米神を擦り付ける。
 甘やかされている。
 首を伸ばして唇を寄せれば、緩く開いた唇に迎えられる。勢いのまま胡座をかいていたサンジをころんと転がす。覆い被さって口づけを深くする。突き入れた舌は柔らかく受け止められ搦め捕られる。
 甘やかされている。
 掌の上で転がされている様で、忸怩たる思いがないではない。けれど。

 甘やかな口づけに、ささやかな歴史を思う。こんな関係になった当初は、噛み付く様にしか出来なかった。互いに負けじと、がつがつ貪る様に。照れもあったし、意地もあった。
 行為と、日々を重ねる中で、歳をとり、経験も得て、こんな時には甘え甘やかすのも悪くないと知る。どうせ二人の夜だけの事だ。海の上の海賊稼業、そうそう甘くも居られない。

 分かりにくい甘え方しか出来ない意地っ張りは、俺を甘やかす。素直に甘やかされてやるのは、サンジを甘やかしているのだ。
 甘えたい気分にそんな言い訳をして、甘い快楽を探しに心地良い疲労に飛び込んだ。



20150502

*いやお前大抵ころころ転がされてるって(とは思っても言わないのが武士の情け)
*厭な事があったのででろっでろに甘いのを書きたいと思いました。
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