三年と、二年 2015/01/07__00:00

＊ゾロの言説は（そんな話を聞いた気がするけど気の所為かも知れない）程度の信憑性ですので悪しからず。そしてこちらの世界の風俗が混じりますが海賊です。無茶苦茶だけど、気にしない！

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　ゾロは壁にかけたカレンダーをじっと見て言った。新しくしたばかりのそれは、未だ下の方が湾曲している。
「恋の賞味期限は三年、なんだと」

　何の話か、一瞬分からなかった。
「…魚、の話か？」
「違ェよ、馬鹿」
　違うだろうとは思ったが、念の為確認したら罵倒付きで即座に否定された。
「…お前の口から出る単語とも思えねェな」
　ゾロはそれについては何の言及もせず、ますます似合わない言説を吐いた。
「恋をすると快く感じる物質が脳から出るらしいんだが、それが三年もすれば出なくなるらしい」
　一体こいつはどこで誰から何を学んで来たのだか。
「まあ、飽きる、って事だろうな」
　単純な結論を述べるゾロは、変わったのだか変わらないのだか分からない。
　呆然としかけた俺の脳内に、古い歌謡曲が流れる。未だコック見習いだった時分、先輩がよく歌っていた。
「三年目の浮気くらい大目に見ろとか開き直るしょうもない男の歌があったなァ…」
　俺の鼻歌を一切無視して、ゾロは問うた。
「その三年に、会えなかった期間は入ると思うか？」
「…会えない時間が愛育てるとかって歌も、あった」
　やはり見習いだった頃耳にした歌。当時は言い訳染みてる気がしていたけれど。
　ゾロの視線はカレンダーから俺に移っており、俺に答えを促す。
「三年の内二年会えなかったら、その恋はもう終わりか、それとも後二年続くのか」

　同じ船に乗ってから、そろそろ三年が過ぎる。その内二年は、互いにどこで誰とどうしているのか——その生死すらも——分からない離れ離れ。ただ強くなる事を願った。共に、往く為に。
　符合する三年と、二年。それをお前は『恋』で語るのか。

　一般論として。
「飽きるようなら、恋じゃなかったんじゃねェの？」
　ゾロが俺をじっと見ながら近付いて来る。
「飽きる気がしねェな」
　耳元に吹き込まれる。
　一般論で終わらせる気は、無ェんだな？

　二年、毎日想って、想って、何ら飽きやしなかったのだ。
「胸糞悪ィが」
　耳元に吹き込んでやる。
「同感だ」

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20141230,20150106

＊会えない期間があろうがなかろうが終わらないけどね。

＊年末から某籠球漫画の二次創作にときめいていまして、年内最後の更新の最後に彼らの小話を置くという暴挙（一応ゾロサンサイトなのに！）を自分でもどうかと思わないでもないのです。ふと指折り数えたら、そろそろゾロサンに沈んで丸三年じゃないの。三年目の浮気！（三年目の終わりなのか四年目に入ったのか微妙なのでね。）大目に見てね！という言訳から派生して迷子になった小話でした。
　や、ゾロサン熱は治まりませんけども。未だ重篤。