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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*ロビン乗船直後

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 *****
      



 サンジの淹れるコーヒーは優しい。
 カフェインの摂取を目的とした喫茶の習慣が、この船に乗ってからは憩いを目的に変えた。
「それは俺のロビンちゃんへの愛の成せる技だよお」
 通常の端整さからは想像もつかない表情の乱れを見せながら、当のサンジは言う。
「コックさんの愛は、遍く与えられるのね」
「あまね、く?」
 きょとんとしたサンジに、ロビンは言い換えた。
「誰にでも、満遍無く」
「レディ限定さ」
 サンジは眉を顰めて、即座に否定した。
「でも、剣士さんには特別、でしょう?」
「はあ?」
 一際大きな声で、一層間抜けな顔で、サンジは否定の意を表したが、ロビンは意に介さない。
「私、暗殺の次に得意なのは、諜報なの」
「ちょうほ、う?」
 再びきょとんとしたサンジに、ロビンはひっそり笑う。なんて表情豊かな子だろう。
「政治的駆け引きや諜報活動の一環でもないのに肌を合わせるのは、愛の成せる技でしょう?」
 サンジの顔が、青褪める。
「ましてや、生殖は望むべくも無い」
 言葉を失くしたサンジに、ロビンは畳み掛ける。
「愛でないなら、何なのかしら」
 サンジの、ゾロとの行為は何を意味するのか。
 学究の徒であるロビンには、純粋に興味だった。

 カップをソーサーに戻して、小首を傾げ返事を待つロビンに、サンジは一つ溜息を吐いて見せた。
 溜息に乗せたのは、諦め、だ。聡い年上の女性に、ましてや、能力によって全てお見通しの彼女には、何の隠し立ても意味を持たない。
「あのねえロビンちゃん」
 レディ相手にこんな事言うの、気が引けるんだけど。
 そうサンジは註釈してから言った。
「排泄だよ?」
 ロビンは言葉を発さず、視線で続きを促す。
「俺もあいつも男だし、その、溜まっちまうからさ、どうせ出すなら気持ち良い方が良いでしょ、ってだけで」
 厭そうに顔を歪めてサンジは言う。
「そう」
 ロビンは静かに言って、再びコーヒーを口に含んだ。温度を下げたそれは、それでも、優しい。

 ただの刺激物を優しいなにものかに変える、この愛おしい男が、やがて傷つくのを黙って見ているのは忍びない。おそらく、サンジがこの態度を貫くなら二人の仲は拗れるだろう。遅かれ早かれ、大なり小なり。けれど、迂闊に介入するのも躊躇われる。
 目を背ける事は、賢明ではない、とか。つまらないプライドに縋っていると、大事な物を見落とす、とか。
 端から見れば、明瞭な事でも。

「排泄は確かに大事ね」
 ロビンはそれだけ言って、他は全て呑み込んだ。カップの中身を飲み干すのと同時に。
 余計な事だ。
 その時が来て、もし許されるなら。その時、手を差し伸べてやれば良い。幸い与える手は、幾らでもある。それが愛おしい男を守る為でも、己の為の優しいコーヒーを守る為でも。
 それまでは、優しいコーヒーと共にもたらされる憩いを、サンジ言う所の己に与えられる愛を、楽しんでいても、許されるのではないだろうか。
 苦味と刺激も、コーヒーには必要だ。


20140614,0708

*サンジを可愛がるロビンちゃんが好きです。

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