『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
*****
ゾロがどことなく優しい。
いっちょまえに、罪悪感はあるみたいだ。別に、そんなもの抱く必要ある関係でもねェのに。
結婚でもしてたら、そりゃ、あって当然の罪悪感かも知れねェけど。そんなんじゃねェし。俺だって、機会さえあれば、まあ、しないとも限らない訳で。——しねェとは思うけど。——機会も無いだろうけど、そうでなくたって。
すげぇ、すげぇ遺憾だけど、ゾロを知ってしまった今となっては、もう、無理だろうと思うのだ。
自分が男だとか、あいつがレディじゃないとか、そういうのは全部すっ飛ばされてしまった。恋とか、愛とか、そういうんじゃなくて、まるで、嵐。
俺はゾロを知ってしまって、嵐に呑み込まれて、もう無事に以前の場所に立つ事など出来ないというのに。
なのに。
どうやらゾロは、レディにお相手願ったらしいのだ、先程出航した島で、その、セックスの、お相手を。
航海中、セックスしたいと思ったら、相手はクルーに限定される。外道な海賊は、他の船を襲って調達したりする事もあるらしいが(全く嘆かわしい事だ)。
ナミさんロビンちゃんにお相手願うなんてとんでもない話だ、だったら相手は野郎になる。
ゾロはその相手に俺を選んだし、俺もゾロを選んだ。それだけの話だ。
陸の上で、抱き合う必要なんて、無い。
円満にお相手してくれるレディが居るなら、そうすれば良い。
そんな事があったからって、今後を、海の上でどうしようもないというのに拒んだりする様な狭量じゃないぜ、俺は。俺がしたいから、してる。別に、ゾロの為じゃない。
だから、そんな取り繕う様な真似、しなくていいのに。
「俺の良さ、再確認しちまった?」
懺悔でもするみたいに俺を背後から包み込んで抱き締めているゾロに、言ってやった。
ゾロはたじろいだ。
「陸のレディと、比べられちまうのは、ちと、ヤなんだけど」
ゾロは俺を抱く腕を強くして、ぼそりと言った。
「気の、迷いで、その、…悪かった」
謝るかね、ここで、そんな風に。認めちまって。全く、馬鹿正直な奴。
正直は必ずしも美徳ではないと思い知る。認められてしまったら、もうお手上げだ。せめて、騙し通す意志くらいあったって罰は当たらないだろうに。そんな努力も放棄する程、俺はどうでも良い存在か?嘘を吐く程度の罪悪感も、俺の為には抱えたくない?
ゾロがレディにお相手願ったって構わない、と思っていた筈なのに。認められてしまえばこんなにも、情けなく、悔しくて、…悲しい。
俺が理不尽な悲しみに沈みかけていると、ゾロは訥々と話し始めた。
「このまんまいったら、ヤベェなって、思って」
「どうしたって、離してやれなくなる、から」
「まだ引き返せるんじゃねェかと…けど…」
「もう、遅かった。お前無しじゃ、俺は…」
「悪ィが、もう、無理だ、お前、俺の道連れ、だ」
言いながら、ゾロは俺を抱き込む腕を更に強くする。鼻先まで俺の首元に埋めちまって、まるで、縋るみたいだ。
俺の為にレディとセックスしてみたって?馬鹿にすんなよ、大馬鹿者。
「てめェ覚悟が足りねェんだよ」
俺なんか、とっくに。
本気で悔しくなってきた。滲んでしまった涙を、ゾロが目尻に唇を寄せて吸い取る。
罪悪感から来るどことない優しさは、まだ有効であるらしい。
俺はそれにつけ込む。それくらい、許される筈だ。
冷ややかな、声を出す。
「こういう時は、なんて言ったら良いか分かるか」
「…すまなかった…?」
ゾロは頼りない声を出す。そんなゾロは俺の好きなゾロじゃねェぞ?
「過去はもう良い、未来に目を向けろ」
「…離さねェ…」
「偉そうだな」
「…傍に居て、くれ」
首を捻ってゾロの目をじっと見る。
「お前じゃなきゃ、駄目だ」
まだ。もう一声。
「愛してる…サンジ」
失敗だ。大失敗だ。追い込み過ぎた。とんでもねェ。とんでもねェ爆弾落としやがった。
身体中の血液が顔に集まる。顔が熱い。多分真っ赤だ。
ゾロが俺の目をじっと見返している。
「それでよし!」
俺はやけくそで言ってから、ぎゅと目を瞑ってゾロの視線から逃れた。
ここで鼻で嗤う気配でも感じられようものなら海の彼方まで蹴飛ばしてやるに吝かでなかったが、耳の後ろで感じた気配は安堵でしかなかったから、もうそれで。
未来にだけ、目を向ける事にした。ゾロと共に在る、未来を。
20140105,0310,0515,0527,0529
PR
この記事にコメントする
カレンダー
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
リンク
忍者カウンター
忍者アナライズ
P R