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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*3月6日付『初めての男』のサンジ

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 *****
      



 どうだ参ったか。
 そう言わんばかりの態度に、呆れ果てて言葉も出ない。

 俺は最初に言ったじゃねぇか、お前の事が好きだって。
 好きだからセックスしたいって言ったし、その言葉を拒んだのはお前だろう。

「てめぇは俺の事が好きだったんだぜ? 俺も、好きだったんだ、てめぇの事が」
 ゾロはそう言って俺の前髪を掻き上げた。こいつにとっては見慣れた方の目に、いきなり光りが飛び込んだ。吃驚して目を瞑った俺に「目ェ開けろ」と言った声色は、恫喝みたいな言葉と裏腹に、甘かった。
 ゆっくり瞼を上げた俺の目に映ったのは、こいつの瞳だった。潰れていない方の。

 片目が見えなくたって、そんな事は何の問題にもならない。
 俺を見詰める痛い程の視線が、半分になるだけの話だ。

 しかしその強さは、半分を補って余りあり…恐らく、こいつが自覚した所為だろう、二年前より更に痛い。

 予定外の別離が無かったら、或いは二年も無かったら。
 こいつは気付かなかっただろうか。
 否、この二年が別離でなかったら、俺達は疾っくにおっ死んじまってたかもな。
 仮定の話に意義は無い。
 仮に二年前にこいつが気付いていたとしても、きっと俺達の交わりは同じ様なものだったろう。
 こいつは俺の言葉を拒んだろうし、俺はこいつが拒む様な態度しか選べなかった。

 最初に格納庫の扉を閉めた時の様に、ゾロの頭を抱えてキスする寸前で、問う。
「何か、言って欲しいか?」
 ゾロは視線を柔めて言った。
「俺に言って欲しい事を、言えよ」
 いやらしい笑い方だ。
「俺が、お前に言って欲しい事を、お前は俺に言って欲しいって?」

「ああ。俺達は、同じ気持ちだろ?」
 全くこいつは。二年の間におかしな自信までつけちまって。
「だったら、言葉なんて要らねぇな?」

 ゾロは僅かに、痛みを感じた顔をした。
「…悪かった。…言ってくれ」
 まさか、謝るとは。二年の月日は、男を素直にさせる事さえ出来る。
「何を」
「てめぇの、本当の気持ちを」
 偉そうに「てめぇに教えてやる」と言ったくせに。そう言える程、知ってるくせに。それでも、言葉で欲しいかよ。

 俺にも等しく、二年の月日が流れた。
 二年前はとてもじゃないが目を見てなど言えなかった、何でもない風を装いでもしなけりゃ言えなかった言葉を、伝える。

「なあ俺お前の事好きなんだけど」
 返るのは、至極素直な、言葉。
「俺はてめぇが好きだ」

 それから俺達は初めて、言葉を交わしながらのセックスをした。


20140304,0306
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