『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「なあ俺お前の事好きなんだけど」
天気の話をするんでももうちょっと気持ちを入れたりするんじゃないだろうか。それぐらい何でも無い様な声色で、コックは俺に言った。
無言で先を促す。しかしコックも俺を見たまま何も言わない。
「で?」
痺れを切らして促すと、コックはうーと唸った。
「何が望みだ」
重ねて訊ねて、やっと口を開いた。
「セックスしてぇ」
「俺と、か」
「お前に言ってんだからそうだろ普通」
「てめぇは普通じゃねぇよ」
「そうかよそうだな俺様はスペシャルだ」
面と向かってセックスがしたいと言われて、他にそう言って来る者が居るで無し、したいのはまあ俺もしたい。コック相手にしたい訳ではなかったが、この船でするとなるとまあ相手はコックが順当だろう。女共ではいかにも拙いし、他は骨だしロボだし獣だし鼻だし船長だし。もっと拙い上に勃つ気がしない。
こいつにしたってそうなのだろう、俺相手に勃つのかという疑念はさておき。
好きだとか、そういうのはいいのに。
好きだなんだと甘い言葉の一つでも言わなきゃセックスしちゃならねえとでも思ってんのか。だったらもっと気合い入れて言えば良いのにあんな全く気の無い様に言いやがって。
「どこでヤる」
立ち上がった俺に、コックは目を剥いた。
「良いのか?」
「してぇんだろ?」
こくりと子供みたいに首肯いたコックは「じゃあ、格納庫」と言った。
「俺が上だぞ?」
念の為、確認した。突っ込む分には問題なさそうだったが、突っ込まれるかと思うとそれだけで萎えたからだ。
「ああ、それで良いぜ」
然して重要な事でもない様に言って、コックは戸棚から何かを出し、緑色の瓶を掲げて見せた。
「オイル。無ェとな、無理だろ」
そんな事にまで気が回るとは、コックは慣れているのだろうか。
そんな風に考えていると、頭の中を読まれたかの様に「お前経験ある?」と訊かれた。
咄嗟に「あ? 何の」と答える。
「男」と簡潔に答えが返る。
「無ェよ」
むっすりと返せば「そうか、俺がロロノア・ゾロの初めての男か」などと、心做しか嬉しそうな声が返る。
男ってのは『初めての男』である事に喜びを感じると言うが、『男の』初めての男になるのも、嬉しいものだろうか。
「生々しい良い方すんな。…てめぇはあんのかよ」
「男? あるわけ無ェだろ」
そうか。俺がコックの、初めての男か。
心做しか嬉しそうな声が出た気がする。
カンテラで仄明るい格納庫の扉を閉めると、コックが俺の頭を抱いて唇を吸ってきた。
「好きだ」
囁く声は、ささやかだ。
「そういうのは、いい」
コックが俺の目を見る。
「要らねぇよ。セックスが、してぇんだろ」
コックは瞼を下ろして言った。
「ああ。そうだな」
そこからは何の言葉も無かった。ただ、荒く湿った息だけが格納庫を満たした。
そんな機会はその後何度か訪れた。
無言で誘い、無言で交わる。
俺は失念していたのだ、コックが、捻くれた照れ屋だという事を。素直に本心を曝け出すなど、出来ない性分だという事を。
俺は知らなかったのだ、俺が、セックスの為に好きだなどと上辺だけの言葉を吐かれるくらいなら、セックスの為に利用される方がマシだと思う程に、コックに惹かれていた事を。
気付くのに二年は、長過ぎだろう。自分のボンクラ具合に呆れる。
心做しではなかった。嬉しかったのだ、『初めての男』だという事が。
それは、互いに、だと。
コックに会ったら、真っ先に教えてやろう。
どんな顔をするか、楽しみだ。
20131104,1113,20140304
*3月5日付『焦燥の色』のゾロです。
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