『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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魔獣と渾名された過去を持つこいつは、名が体を表したのか体が名に釣られたのか知らないが、正しく獣じみていて、舌で舐め口に入れて確かめる。いろいろを。
情事を終えた微睡みの中で、こいつは俺の指を口に入れる。一本一本舐め、根本を齧る。甘噛みだったり血が滲む程だったり痣になったり。様々な強さで。
痛かったりくすぐったかったりで、やめて欲しいと思ったり気持ち良いからやめて欲しくなかったりで、俺は好きにさせていた。
左手の薬指の付け根に、環状の痣が出来ていた。
これじゃまるで。
消えてくれるなと思うあたり、だいぶ毒されている。
調理に給仕に喫煙に。自分の目に良く入るのだから人様の目に入っても不思議はない。
この船で一番目聡いのはナミさんだった。
「サンジ君その痣どうしたの?」
たおやかな指が俺の左手に触れて、俺はドギマギした。
「ああ、どこかにぶつけちまったのかも」
本当の事なんて言えやしない。獣に噛まれたなんて。
ナミさんは俺の左手を矯めつ眇めつしている。
「一周してるのね。リングみたい」
ああ、俺達同じ事を思うんですね。ひょっとして運命の相手なんじゃないかな?
「じゃあ、ナミさんの左薬指にも、痣、出来てませんか」
ナミさんの左手を取るが、当然白魚の様な指に痣などない。
ナミさんはにっこり笑って言った。なんて魅力的な笑顔だろう。
「あるとしたらゾロの指でしょ」
ああ、貴女はなんて聡いんだ。それに引き換え何て言えば良いか全く思い浮かばない俺はなんて愚かなんだろう。
そこに、元凶である獣がやって来た。ナミさんと俺の繋がれた手を見て、凶悪な顔をさらに悪くしている。馬鹿め。
「ゾロ、あんたの左手見せなさいよ」
ナミさんはその麗しい手でゾロの左手に触れた。ああ勿体ない。
「なんだよ」
不機嫌に言ったゾロの左薬指の付け根には、果たして一周する痣が、あった。
「お揃いね。偶然?それとも、運命?」
ナミさんの悪戯な笑顔は本当に魅力的だ。至宝だな。
「必然だ」
しれっと答えたゾロを咄嗟に蹴った俺を、どうか叱らないで欲しい。
「てめ、何すんだ!痛ぇだろ!」
痛いのはこっちだ。ほら、ナミさんが行ってしまったじゃないか。
「素敵なペアリングね」
そんな言葉を残して。
「ああ、エンゲージか」
そんな言葉を残して。
「指輪は、邪魔だろ」
消える間もなくつけられる刻印。
それを、甘受する俺。
畜生。今度からお前の指は、俺が齧ってやるよ。
消える間もない様に。
20131004
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