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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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・現代パラレル
・新聞販売店勤務ゾロ、顧客サンジ

前回:9月7日付
初回:8月26日付

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10

 チャイムを押す。反応を待つ。…遅い。不在か? 珍しい。
 出直すか、と荷物を手に持ったら『はい』とインターフォン越しの声が聞こえた。
 いつもと違う。しかしこちらからはいつもの通り。
「こんばんは、青海新聞です、集金に伺いました」
 いつもより多く待つ間に、何かを落としたかぶつけたかした様な、派手な音が聞こえた。何があった?
 やっと開いたドアの向こう、いつもと違う雰囲気の家主が、黙って財布を突き出す。
「…どうかしました?」
 勢いで財布を受け取ってしまうと、家主は目を瞑り壁に寄りかかった。そのままずるずると座り込みそうになるのを、つい、抱きとめた。
 熱い。
「熱?」
 家主は億劫そうに目をこちらに向けると、「んー」と言って俺の肩に頭を乗せた。
 熱い。
「布団、どこだ?」
 家主を抱き抱えたまま慌てて靴を脱ぎ、家主が僅かに腕を上げた先に歩を進める。

『お客様の家に上がり込んではいけません』
『お客様と身体の接触をしてはいけません』

 仕事を始める時、所長に言い含められた。今でもそれは守っている。どれだけ誘われても。死守。
 けれど。
 これは緊急事態だから。
 こいつは男だし。
 元々、人妻に手を出してトラブルになったら困る、といった趣旨だった筈だ。うん、何も問題ない。発熱して意識が朦朧としている客をほったらかした方が、人道的に問題だ。だから俺は間違ってない。

 ベッドを見つけて、その上に寝かせる。生乾きになったタオルが生温くなっていて、枕元に染みを作っていた。もののついでだ、台所へ行き、タオルを濡らして額に乗せてやる。家主は既に寝息を立てていた。
 ダイニングテーブルの上に、今日の朝刊と、家のものらしき鍵があった。その脇に、渡された財布を置く。勝手に金を抜く訳にはいかない。集金は後でも構わない。戸締まりもしない訳にはいかないし、容態も心配だ。朝刊の配達ついでに様子を見よう。そう考えて、鍵を預かる事にした。
 一応、メモを残しておく。
『鍵、お預かりします。朝刊の配達時、様子を見に伺います。青海新聞、ロロノア』

 もう一度寝息を聞き、苦し気でない事を確認して帰ろうとした時、ふと、壁に設えられた飾り棚が目に入った。そこには、俺がおつりで渡す75円袋が3つ、並んでいた。入居の日に初めて配達した新聞と共に入れたメモを座布団にして。
 何で?
 埃一つ被っていない。こざっぱりした部屋ではあるが、それにしても。
 脈動が激しくなった。これは、動揺だ。

 朝刊の配達を終え、302号室を訪ねた。静かに鍵を回し、そっと室内へ。ベッドの上の家主は、穏やかに寝ていた。熱もだいぶ下がったみたいだ。一安心。
 先に残したメモは、残した時のままだった。恐らく、見てもいない。メモを差し替える。
『後日改めて集金に伺います。鍵は施錠して、ドアポケットに入れます。お大事に。青海新聞、ロロノア』
 帰る時ちらりと見た飾り棚には、やっぱり75円袋が3つ、メモを座布団にして並んでいた。



*ロロノアがなんだかちょっと痛い子みたいになってしまって申し訳ないです。(根はいい子なんですよ!←何の擁護だ)
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