はつこいはみのらない 2013/06/26__00:00

＊現代パラレル
＊高校二年生×高校一年生
＊サンゾロ（にょた）ご注意！

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「初恋は実らない、って知ってる？」
　ナミが意地悪な顔をして言った。
「ルフィはお前の初恋じゃないのかよ」
　ルフィというのはナミの彼氏で、確か幼馴染だった筈。
「違うわよ」
　ナミは、ふふん、と笑った。


「…って、ナミに言われた」
　ちょっと考えた顔をしたサンジが「意地悪なナミさんも素敵だ」なんて言うから、手の甲を思い切りつねってやった。サンジは涙目で「いてぇ」と言った。ざまあみろ。

「でもさ、ゾロ。ゾロの初恋の相手は女の子だったんだろ？」
「でもそれは勘違いで結局お前だった訳だから…」
　サンジは途中で「ちょっと待って」のゼスチャーで遮った。
「俺の初恋の相手は男の子だった。で、俺の恋人は正真正銘女の子のゾロだし、ゾロの恋人は俺、男だ」
　うん、と首肯く。
「お互い初恋じゃないから大丈夫」
　サンジは自分の考えに納得した様にうんうんと首肯いている。

「…詭弁」
　ぽつりと言うと、口をへの字にしたサンジに睨まれた。
「いーの。そんなジンクスなんかどうでもいい。俺はゾロが好きだし、ゾロは俺が好きだろ？」
　そう言って、だろ？と顔を覗き込んでくる。恥ずかしい奴だ。でも、この胸の震えは、嬉しい、って事だろう。
　うん、と小さく首肯いた。
　そうすれば、大好きなあの笑顔が向けられる。

　これが初恋だろうが違おうが、どうでも良い。
　今、隣に笑顔のサンジが居るなら。
　ジンクスなんかより、ずっと大事な事だ。
　ざまあみろ。

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20130314,0315,0625

＊3月14日から20日まで連載した『はつこいのきみ』の二人です。

＊ナミの初恋は近所の駐在さんです。「大きくなったらゲンさんのお嫁さんになる！って言ってたのになあ可愛かったなあ」と記憶にない事を散々言われて辟易しているので、そういう事にしています。形式的に。実質的初恋はルフィです。十年越しでやっと彼女の座に納まりました。ナミは根性の人です。ルフィの方はまだ恋だか独占欲だか曖昧な感じなんですが、これからナミが教育していくと思います。ちなみにサンジのお友達、ウソップの彼女は近所の病弱なお嬢様です。（お互い初恋です。）