『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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身代わりだった筈だ、互いに。
お互い同じ男を見ていた。敵わないのは承知だった。身代わりなのも、納得尽く。
体の要求に素直に従えば、それは頻繁にならざるを得なかった。
悲鳴を上げる心には、耳を塞いだ。目を閉じた。
***
「てめえ、どっち?」
コックの言は唐突だった。
「何の話だ?」
深夜のラウンジには、俺とコックの二人しか居ない。
「ルフィ抱きてえの?抱かれてえの?」
思わず酒瓶を取り落としそうになった。
「気付かれてねえとでも思った?」
淡々と、煙草を吸いながらコックは言う。
「俺は、どっちかっつーと、抱かれてえんだけど」
やっとの事で口に含んだ酒を、吹き出すかと思った。
「な、溜まんねえ?」
音もなく隣に立ったコックが、俺の股間を撫でた。
喉が鳴ったのは、酒を嚥下したからだ、と思う事にした。
「…溜まるな」
平然とした顔を装って言う。コックの手は、柔く俺を揉む。
「身代わりになろうってのか」
上擦りそうになる声を押さえて言えば、コックの口端が煙草を咥えたまま、にぃと引かれた。
「冗談。俺がお前を身代わりにすんだよ」
コックを見上げた顔に、紫煙が吹き掛けられた。
煙草を摘んで引き抜く。テーブルで揉み消す。木の焦げる匂いと、指先に感じる熱を意識の隅にやり、コックの背に腕を回した。
コックの目を見る。俺を映しているのに、俺を見ていない碧眼。俺の望む黒眼とは違う、目。
「抱け」
コックの冷たい声を合図に、俺はコックを引き摺り倒して伸し掛った。
***
心ほど曖昧なものはない。
体ほど確かなものはない。
***
テーブルの焦げ跡を見ると、コックの痴態が脳裏を過る。
そのコックが設えた食卓で、そのコックの手による料理を貪るルフィの腕を見る。
手首の細さは、同じくらいか。
肩の厚みは、腰骨の尖りは、上げる声は、どうだろう?
頭を振って意識を散らす。
ふと目を上げると、コックが憐れなものを見る目を向けていた。
そんな目で見るな。同罪だろ。
コックを睨みつけて、思う。今夜はどうしてやろうか、と。
***
心は体に引き摺られる。
冷えた心は、熱い体に。
***
ルフィがコックに絡み付いている。肉でも強請っているのだろう。鬱陶しそうにルフィの体を押しやるコックの目に、悦びの色を見る。
ちりちりと何かが灼け付く様な痛みを、どこかに感じる。体のどこかに。
ルフィが、例えばウソップに戯れ付いていても、別に何ともないのにな、と思えば、一つの可能性が思い浮かぶ。
まさか。
身代わり、だろ?
ウソップに戯れ付くルフィを見るコックの目に、寂寥の色を見る。
直後目が合い、皮肉気に歪められた唇を、今夜はどうしてやろうか。
***
心は体に引き摺られる。
引き摺られて、違うものに形を変える。
お前も、変われ。変わってくれ、早く。
俺の心が醜いものに変わってしまう、その前に。
20130408,0410
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