『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
*****
俺が発作の様に奴に抱き着き、その匂いを堪能してちょっと落ち着くと、奴は「しかたねえなあ」とでも言う様に、わらう。鼻で嗤う様な、苦笑する様な、それはその時々で違うけれど、俺の左耳に微かな息が掛かるのはいつも同じだ。耳が嗅覚を持っていたならば、煙草の匂いがするに違いない。奴の首筋から、仄かに煙草の匂いがする様に。
初めてそうした時——抱き着いて匂いを嗅いだ時、奴は驚いていた。「蹴らねえのか」と訊いた。当然そうされると思っていたからだ。「蹴られてえの?」と返されて、「いや、出来れば、このまま」と答えた。
「まあ、そうしたい時もあるよな」
奴は大人振った態度でそう言って、暫くそのままで居てくれた。
そうしたい時——奴にもそんな時があるのか。あったのか。してきたのか。
訊きたい事は山程あった。けれど訊けなかった。訊いた所で、どうにもならない。
訊かない事で胸に巣食う、黒く渦巻いた感情と、訊いてしまって新たに胸を蝕む、黒く渦巻くだろう感情と、どちらがましだろう。
——どちらも喰えない。無駄な感情だ。そんなもの、知りたくもない。だから一切を無視する。
時々、こうして——どうしようもなくなった時だけ、こうして。
胸のぽっかり空いた所が、黒く渦巻く前に。埋めてくれ。——お前が。
肺腑に煙草の匂いが満ちて、俺は奴から離れた。
放した体温の持ち主が、どんな顔をして俺を見ているのか。そんなもの、知りたくもない。
知りたくもない事ばかりが、増えていく。
20121226
PR
この記事にコメントする
カレンダー
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
リンク
忍者カウンター
忍者アナライズ
P R