仮定の話 2012/08/18__00:00

　シリアスで甘い（つもり）

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「てめぇ、ガキが出来たら、どうするよ」
「あ？　んなもん、出来る訳ねぇだろ」
「いや、仮定の話」
「…。想像出来ねぇ」
「…。そうだよな。てめぇの貧困な想像力じゃな」

　サンジは、はふぅ、と大きく息を吐いた。
　ゾロは、眼前に纏わり付くだろう紫煙を警戒して思わず目を細めたが、それは一向にやって来なかった。
　サンジの口元に、常なら在る煙草が、無かった。

　煙草を吸わないサンジは、珍しい。
　唐突な、ガキが出来たら、という仮定の話。
　ここは『何が起きても不思議ではないグランドライン』。
　俺たちは、サンジに出産の機能が備わっているとしたら、ガキの一人や二人居てもおかしくない事をし続けている。

　そこまで考えて、ゾロははたと思い至った。
　そして、サンジの腹に視線を落とした。

「ばーか」
　ゾロの視線を辿ったサンジが、呆れた様に毒づく。
「居る訳ねぇだろ」

「…だよなぁ」
　我ながら、バカな事を思ってしまった。
　救い様が無い。
　ちょっと、ほんのちょっとだけ、心が浮き立ったなど。

　墓場まで持っていく秘密が出来てしまった、と、ゾロは丹田に力を込めた。

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20120815,0817

『子を生せない』というのは、BLの醍醐味（なんか言葉が違う気がする）というか、大命題というか、肝というか、まあそんな感じに思っています。
　男女間なら必ず子を生せる訳ではないのに、と思うけれど、必ず生せない、というのはまた違った意味があるのでしょう。
　サンジは、もの凄く負い目に感じるんじゃないかと。
　ゾロはそんな事気にしないけど、気にしてるサンジの事は気にするだろう（つーか、しろよ）って。