忍者ブログ
『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

*なんやかんやあって、長めに離れていて、再会した中年の二人

拍手




 *****
      



 邂逅の時は過ぎた。当たり障りのない思い出話、当たり障りのない近況報告。核心は、慎重に避けた。サンジが避けているのも分かった。ぎこちなさを年を重ねて得た如才無さでごまかして、そんなもの、会話が盛り上がるわけもない。もとより、会話の盛り上がる二人ではなかった。避けた核心と喧嘩腰を奪ってしまえば猶の事。
 二度と会えないわけではないが、次に会う事由もない。今生の別れになるかも知れない。核心に触れないのなら、それも宜なるかな。
 ゾロは席を立った。触れられたくない核心を無理に暴く無謀は、もう持っていない。

「なあ」
 柔らかな声の呼び掛けに、ゾロはゆっくりと振り返り、瞬いた。
「もう、俺に興味はねェか」
 ゾロの瞬きが積もる。
 サンジはゾロの目に真っ直ぐと向けていた視線を外した。
 伏せられた視線、露わになる目蓋。
 ゾロには覚えがある。あの頃、よく、見た。あまり良くない兆候だ。ろくな事を言い出しかねない。
「そんな言い方じゃ、興味のあった時期があったみてェか」
 からりとした声で笑って、サンジは煙草を咥えた。
 ほれ見たことか。ゾロは溜息交じりに言った。
「てめェは変わんねェな」
 細く立ち上った紫煙が揺れる。
「お前は、変わった?」
 声まで小さく揺れている。
「ちっとも変わんねェよ。ずっと、てめェに」

 互いに避けるなら、暴かないままの方が良い。一方的に暴こうとするなら、それは無謀だ。
 サンジは無謀への道を踏み出した。ゾロがそれに続かない理由はない。直ぐに戻ろうとするサンジを、引き止めない理由も。

「どんだけ興味があるか、教えてやるから」
 ゾロは一気に間合いを詰め、ゆるゆると視線を戻したサンジの腕を掴んだ。耳元にそっと吹き込む。
「今夜付き合え。戻れると思うな」
 サンジは眉を下げて薄く笑った。
「今夜は帰さない、って?」
 がたりと音を立て、サンジも席を立つ。
 そんな生易しいもんじゃねェよ。隠し果せた日々に、だ。
 サンジがまた躊躇いを見せない様にそれは言葉にせず、ゾロは薄く笑うに止めた。


20170203,0204,0205

*現代パラレルかな?って気もしますが、設定が全く。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[986] [985] [982] [984] [983] [981] [980] [979] [976] [978] [977]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
最新コメント
[04/16 koma@ツツジの花]
[02/23 タカス]
[04/18 koma]
[12/22 koma]
[12/12 ゆう]
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
忍者カウンター
忍者アナライズ
バーコード
P R
忍者ブログ / [PR]
/ テンプレート提供 Z.Zone