『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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一本取り出した煙草を指の股で弄び、ライターの蓋を鳴らしながらコックは言った。
「さみしかったか?」
にやりと笑って放たれた言葉は、特に意味を含んでいない。ただの軽口、どちらかというと嫌がらせの類だ。
それではつまらないのだ。
意味を持たせてやれば、少しは “さみしさ” も報われるだろうか。
「そうかもな」
口元に運ばれた煙草が咥えられる前にと厳かに告げれば、コックの瞳は驚きに丸くなる。
「俺が、居なくて?」
「お前が、居なくて」
「お前、が?」
「俺が」
馬鹿みたいな問答の後、神妙な顔で何かを飲み下して、コックは目を逸らせた。煙草は憐れにも折れ曲がり、コックの指に引っ掛かっている。
もういい加減、許しても良いのではないか。自分のさみしさを。さみしいと感じる心の柔さを。
「さみしかった、か」
俺もお前も酷くさみしくて、けれどそれは悪いばかりでもない。不明な感情を言葉にすれば、それは明らかになり、埋める手立ても見つかるのだ。
「さみしかったろ」
煙草がいよいよ粉々になる前に、そっと救出してやる。血の気を失った指先は、僅かに冷えている。ライターも奪い、まとめてカウンターに押しやれば、両手はフリーだ。
「そう、かもな」
目の前の互いは、さみしさを埋めるには、うってつけだ。
20170120
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