『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「くわぁっ」
ゾロは大きな欠伸を噛み殺しもせずに放った。太陽には喉の奥まで良く見通せた事だろう。
生理現象として、ゾロの右目には涙が浮かんだ。感情が揺さぶられた証として涙を見せる様な男ではない。なかなか希少な、…否、欠伸は野放図に放つからそう珍しくもないかも知れないが、その量は通常より多かった様で、ゾロの視界は涙で歪んだ。
そろそろ食事の時間だろうか、歪む視界の先に陽光を弾く頭髪が紫煙を吐きながら近付くのを認め、ゾロは涙が頬を伝う前に拭ってしまおうと指を右目に近付けた。どんなからかいを受けるか分かったものではない。但しその仕草はゆったりとしたものだった。焦った様を見せるのもからかいの種になるだろう。
ゾロの指が右目の際に届く寸前、ゾロの右手は自由を失った。何事かと思う間に、ゾロの指の股には細長く固いものが差し込まれた。ゾロのものより幾分低い体温を感じる——指だ。ゾロの歪んだ視界は白く黄色く丸いものを認知している。いつの間にこれ程近付いたのだろう。それは徐々に大きさを増す。細く白い筒が引き抜かれた場所から独特の香りがする煙と赤いものが排出され、ゾロの視界を塞いだ。
目尻から涙が零れ落ちる寸前、何かがゾロの目尻に押し当てられた。ぬるり、と生暖かい湿り気がゾロの涙を拭い取る。次いで感触は、ざらり、ちゅるり、と変化した。
ゾロの涙はすっかり吸い取られ、明瞭になったゾロの視界には見慣れた筈の顔が現れた。しかしその表情は見慣れない——自然な笑みを浮かべている。
「な、何しやがる」
動揺を隠せず、ゾロは問う。行為、人物、表情、全てが動揺を誘うに足る。合わせ技となればその威力は如何程か。
サンジは笑みを深くして言った。
「lachryphagy」
絡められた指がゆっくりと解かれ、サンジが離れる。何事もなかったかの様に背を向け去るサンジを、ゾロは呆然と見送った。
「……なんて?」
耳慣れない単語に、ゾロは背を預けていた木箱の反対側に問うた。そこには、自分より幾分博識かも知れないウソップが居る筈だ。
「…知らん」
少し怒った様な表情のウソップの頬は僅かに赤い。ゾロの顔は、涙でなく濡れた目尻を中心に、もっと赤く染まっていた。
***
本当は、知っている。lachryphagy ——涙を食べ物にする—— 蝶が亀とか鰐の涙を飲む事をいう。
サンジよ、お前は自分を蝶に喩えるのか。そんで、ゾロが爬虫類?
傍目には、泣いてる亀を慰める蝶、みたいで微笑ましいもんだけど、実際には、その涙に含まれるミネラルが蝶に必要なだけだ。蝶の利己的な行動。多分亀にしたら鬱陶しい。
けれどその亀が、蝶が自分の涙を吸う行動に、何か特別な意味を見出だしてしまったとしたら?
「ただ塩っ気が欲しかっただけだろ」とは言えない。あの顔を見てしまったら。こちらが赤面する程の、何かに気づいた顔を見てしまったら。
蝶の口元に浮かぶ薄い笑みには、気づかないで居たかった。
さて。
自身を蝶に喩える男の真意や如何に。
お前が爬虫類に喩えた男は、亀は亀でもすっぽんじゃねえか。寝た子を起こす様な真似しやがって、どうなっても俺は知らん。
20150816,0818,0819
*メイキング(恥さらし):
8/11から8/14のいずれか・ツイッタで『lachryphagy』ってのを知って、何かに使えるかも、とクリップしておく→サンジがゾロの涙を舐めたら良いのでは?→文章でなく漫画で物語が思い浮かぶ(でも絵が描けないなあ)
8/15・取り敢えず脚本にしてみるか
8/16・ウソップ独白部分は文章で出てくる
8/17・ちょっと描いてみる→挫折
8/18・文章にしてみるか
8/19・調整、加筆、えいやっと予約投稿
という事でこうなりました。脚本部分、置いときますね。
欠伸するゾロ、目に涙が浮かぶ。
拭おうとする指、通り掛かったサンジが指を絡ませそれを止める。
何だ?と訝しがるゾロ、徐に顔を近付けるサンジ。
サンジの舌がゾロの目尻を拭う。
「な、何しやがる」
動揺するゾロ、にっこり笑うサンジ
「lachryphagy」
指は離れサンジも離れる。呆然と見送るゾロ。頬が赤く染まる。
「え、…なんて?」
実は背後に居たウソップ。何故か顔が赤い。
「…知らん」
サンジは頬染める事なく、笑顔(口元アップ)
これがああなる。掻き分けて掻き分けて言葉を探していく感じでした。
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