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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*poponさんに格納庫一万打記念リクという名目でネタ提供をお願いしました。
*空島後、ロングリングロングランド前(303話と304話の間)を想定しています。

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 朝焼けの中に姿を現したその島には堂々たる港があったが、生憎ゴーイングメリー号は海賊船だ、表から堂々と入港するのは憚られる。海賊旗さえ畳んでしまえば暢気なメリーが海賊船に見える事は無いだろうが、なにせ立派な港、立派な入港料を取られる事が予測された。メリーの修復を目前に出来るだけ節約したい麦わらの一味は、島の裏手にメリーを接岸させた。少し前まで港として機能していたであろう形跡がある。おそらく、新しい港が作られて使われなくなった忘られの港。所々朽ちた桟橋が憐れを誘う。

「一先ず明日の正午に集合しましょう。それまでに各自情報と物資の調達、少なくとも目処は立てておく事。ログが溜まるようなら明日のうちに出航するわよ」
 くれぐれもトラブルは起こさない様に、とナミは念を押し、クルーに物資調達用資金と一泊二食を賄える程度の小遣いを手渡していく。
「ゾロは先ず船番でよろしく」
「なんで俺だよ」
「あんた戻って来ないじゃない」
「ナミさん、戻って来れない、の間違いだよお」
 気色ばんだゾロがサンジを睨め付け、今にも取っ組み合いを始めそうな雰囲気にチョッパーがおろおろと提案する。
「おれ、昼過ぎには戻るから、そしたら交代しような」
 毒気を抜かれたゾロを見遣って、ロビンはチョッパーの頭を撫でた。
「私は陽が落ちる前に戻るわ」
「私もそうする。情報交換しましょう」
「じゃあ俺も一旦戻って晩御飯用意するね~」
 ころっと態度を変えたサンジは新しい港の方へ向かう。この規模の港なら朝市が立っているだろう。
「夜は俺が船番で良いぜ。サンジ、俺の飯もよろしくな」
 ウソップの懇願を背中で受けたサンジはサムズアップで諾と伝える。
 ちなみにルフィは接岸と同時に船を飛び出ている。この船に、平常時船長にそれらしき役割を期待する者など居ない。朝焼けの消えゆく島に散ったクルーを、ゾロは大きな欠伸で見送った。


「サンジ君まだ帰ってないの?」
 ナミのきんきんとした声と瞼を射す夕焼けに、ゾロは目を開いた。
「いっぺん荷物置きに戻って来たみたいだけどなあ」
「おれが戻ってしばらくしてから出てったぞ」
 街で仕入れた新しい玩具に気を取られながら、ウソップとチョッパーがのんびり答える。
「もー、晩御飯どうすんのよ」
「そうだ!腹減ったぞ」
 サンジ本体よりサンジの作る料理の方に関心があるかのようなナミとルフィに、ロビンが冷蔵庫に貼られたメモを読み上げる。
「晩御飯は冷蔵庫、ですって。今夜は帰らないつもりかしら」
 ロビンの指にひらひらと揺らされる紙片には、特徴的な金釘が踊る。紛れもなくサンジの字だ。
「じゃあ食おう!肉は?」
 早くもカトラリーを両手にしたルフィに、ナミは冷蔵庫を覗く。『晩御飯』とメモを貼られた大きなボウルに山盛りのサラダ、大皿にはミートローフ。もう一皿には数種のチーズとテリーヌが並ぶ。それらをテーブルに移しながら、ナミはメモの裏を見て柳眉を顰める。『パンは戸棚、スープはコンロの寸胴鍋(どちらも半分は明日の朝御飯、シンク下の卵は各自お好みで)』
「朝寝までしてくるつもりかも」
 ナミはロビンにこそりと囁きメモの裏を見せて肩を竦めた。
「大きな街だったもの、夜もさぞかし華やかでしょうね」
 全て悟った様なロビンだ。
「上陸中は仕入れさえ済ませてしまえば自由にしてもらって構わないけど、早速お盛んな事ね」
「あら、やきもち?」
「まさか!」
 女二人、軽口を叩きながらテーブルを整えていくのを見て、図らずも昼食を抜いたゾロは腹を鳴らした。その音を聞いたルフィとウソップはひやひやしながら顔を見合わせる。屑籠の中には丸まった『船番用昼飯』と書かれたメモが捨てられているが、それを知るのも、それが貼られていたのがおにぎりだったと知るのも二人だけだ。寝こけている船番を見て「もうおやつだよな?」「寝てちゃ船番とは言えねェもんな?」と囁き合い証拠隠滅を図ったのも二人だけの秘密だ。

 外泊を前提とした計画でも、夕食時には殆どがこうして船に集まる。宿代を浮かせて小遣いを増やしたいのも勿論だろうが、船に帰ればそこらの食堂より遥かに美味い飯にありつけるのが分かっているのだ。しかもタダで。島の味を楽しむのは廉価な昼食で充分。戻らないのは余程の理由があるのだろう。例えば、迷子になって戻るに戻れない、とか。ひょっとしたら、生理的な理由、とか。お互い口出しはしないから、本当の所は分からないけれど。どんな理由か戻らない事が最も多いゾロは、今回船番を言い付かって迷子になる隙もなかった。船長の襲撃を躱して死守した自分の取り分をがつがつと腹に収めている。
「サンジ君にサーブしてもらわないと味気無いわね」
「ほんとに」
 その場にサンジが居たら歓びで昇天しかねない科白はしかしその場に居ないからこそ漏らされたもので、女二人はくすくす笑う。我が船の誇るコックを不用意に殺すわけにはいかないだろう。

 夕食が片付き、ウソップとチョッパーが皿を洗う。サンジが行うより賑やかな作業音を聞きながら、サンジが居ないのを良い事にラックから引き抜いた酒をラッパ飲みで空にしたゾロは、ラックからもう一瓶抜くと、それを腹巻に忍ばせ主不在のキッチンを出た。
 特別変わった酒ではない筈だが、いつもとは味が違う気がする。今日の夕食とは相性が良くなかったのかも知れない。そういや最近は、コックが出す酒をコックが出す飯と共に飲む機会ばかりだった。
『サンジ君にサーブしてもらわないと味気無いわね』『ほんとに』
 ナミとロビンの会話が脳裏に浮かぶ。
 まさか。
 ゾロは頭をぶるりと振るうと、欄干に飛び乗り、桟橋に飛び降りた。着地したすぐ横に、穴が空いている。朝方ルフィが踏み抜いた箇所だ。人の手によって作られた物は、人の手が入らなくなると途端に朽ちる。この穴も修復されずに放置され、ここがかつての港であった事を印象付ける一パーツとして残るのだろう。獣道などは、使われなくなれば消えて無くなるだけだというのに。一旦人が関与すると、それ以前には戻れない。
 何かに似ている。——何に?
 一瞬首を捻ったゾロだが、その首は直ぐに前を向いた。折角の陸だ、分からないものに割いている時間はない。まだ夜は浅い。先ずは美味い酒と肴を出す店でも探すか。
 ゾロは街に足を向けた。


 夜半。
「まいったな」
 サンジが紫煙と共に吐き出したのは、正直な心情だった。
 念の為、と二食分の用意はしてきたけれど、ナミさんやロビンちゃんの手を煩わせてしまうだろう。
「しかしまいった」
 うっそうと茂る木々の隙間から弱々しい月明かりに辛うじて照らされる足元は、いつの間にか獣道になっている。
「ここは、どこだ」
 木々を通した風は森の香りの奥に潮の香りも忍ばせて、海からそう離れていない事を感じさせる。海岸沿いを歩けばメリーの姿が見えるだろうか。しかし森も夜もどんどん深くなるし、闇はどんどん濃くなっている。うっかり崖から滑落なんて洒落にならない。ならば来た道を戻れば良いのだが、頭に血が上った状態で歩を進めたサンジに正しい帰り道を選択する自信は無かった。

 街に戻ったのは一夜のアバンチュールを期待して、という気持ちが無かったとは言わない。なかなか開放的な雰囲気の街だったし、道往く女性のレベルも高かった。だから念の為、夕食と、更に念の為、朝食も充分とは言えずとも何とかなる程度には用意した。自分の用意周到さに眩暈がしそうだ。
 正直な所、荷物の無い身軽な状態で街を歩きたかった。美味そうな店があったら食べてみたかったし、ナミさんやロビンちゃんに相応しい何かが売っていたら買って差し上げたい。あわよくば一夜のアバンチュール。
 そんな気持ちで街を歩いていたサンジは、複数の不逞の輩から一人の女性を助けた。街を抜けた先にあるという彼女の家までお送りして差し上げる事にした。人通りの無い夜道を女性が一人で歩くのは不用心が過ぎる。街のざわめきが途切れた頃、先程伸した筈の不逞の輩が再びサンジの前に現れた。懲りない奴らめ、と先ずは女性を安全な所に誘導しようと肩に手を添えたサンジは違和感に首を捻った。固い。あれれ?と彼女を良く見ると、顔を殆ど覆う様に巻かれたストールが少しずれ、青々とした髭の剃り跡が見えた。剃る前はサンジのものより余程立派な髭が生えていただろうと思われる。その上「男…?」と呆然と発したサンジに、彼女、もとい彼は懐からナイフを取り出し斬り掛かってきたのだ。恩人に何たる振舞いか。釈然としないままそれを避けたサンジに、不逞の輩までが飛び掛かる。痩身をスーツに包んで店を冷やかして歩くサンジは、金持ちの優男に見えたらしい。しかし、美人局なり追い剥ぎなりのターゲットにされたサンジは、見た目に反して喧嘩慣れていた。否、喧嘩慣れなどという生易しい表現より、戦闘慣れ、が相応しい。徒党を組んでケチな犯罪に身を落すチンピラ風情では相手になる筈も無かった。辛うじて息のあった囮役から自分の身に起こる予定だった被害と謝罪を吐かせたサンジは、頭に血を上らせてその場を離れた。そうしなければ殺しかねない程に腹が立ったのだ。男の純情弄びやがって!わざと助けられて送り狼と化した男の身包みを剥ぐつもりだった窃盗団には勿論、まんまと引っ掛かった自分にも。しかしナミからトラブル厳禁を言い渡されている身、辛うじて残っていた理性がサンジにその場を離れさせた。但し街へ戻るとかせめて道形を行くとかを選択するだけの理性は残っていなかった。腹立ち紛れに咥えていた煙草を投げ捨てたのも許して欲しい。それ程、腹が立ち頭に血が上り理性を欠いていたのだ。

 そんなこんなで、サンジは現在、迷子である。森のどこかで鳴く梟の声は、心細さを弥増す。
「マリモ野郎を笑えねェ…」
 しかしサンジはゾロとは違う。見知らぬ夜の森をみだりに歩き回ったりはしない。蔓の絡まった立派な枝振りの木を選び、キックを軽く一発。軽いとはいえサンジの蹴りに動じないなら合格だ。何も——主に気持ちの悪い虫などが落ちてこない事を確認して、その木によじ登る。地面は湿って苔生しており、そこに転がる気にはなれなかったのだ。幹に背中を預け、枝に足を絡めて蔓を握る。動けないなら少しでも身体を休めておこうと目を瞑る。おそらくゾロなら、迷子になった自覚の無いまま闇雲に歩き回り、事態を悪化させるだろう。より複雑な迷子へと。サンジはゾロとは違うのだ。
 微かな月明かりがもたらす茫とした木々の影は、時折鋭さを増す風にその姿を変える。瞼越しにそれを感じ、サンジは目を閉じて居られなくなった。びゅう、ごう、と風が鳴る度のそりと木々が動く様で、サンジの天地は怪しくなる。
 サンジは今、どうしようもなく一人だ。
 常に賑やかな仲間と共に海で暮らしてきたサンジにとって、海ではない場所で一人、というのはあの孤島での飢餓を思い起こさせる。あの時、実際には一人ではなかったし、海は目の前だった。それでも、どうしようもなく孤独だった。
 梟が鳴き、静かに羽搏く。生命の存在も、意思の疎通が出来ない以上孤独を深めるものでしかない。サンジは煙草を吸うのも忘れて、強くなった風に吹かれる木々に目を奪われた。その姿は見知らぬ化け物の様で、気が遠くなる心持ちがした。


 メリーを出て程なく酒場に辿り着いたゾロだったが、然して美味いとも感じず早々に店を出た。もう一軒行くか、それとも宿を取ろうか、はたまたメリーに戻るか。ゾロは思案しながら腹巻に忍ばせていた酒を呷りそぞろ歩く。
「やっぱ、美味くねえな…」
 街を外れた辺りで幾人かの男が道端に倒れていた。行き倒れか?街はすぐそこなのに。
「おい」
 怪訝に思いながら観察し、声を掛ける。うう、と呻いた男の傍らには、見た事のある様な無い様な煙草の吸い殻が落ちていた。端の方に倒れている小柄な男が纏っている巻き物は、どうやら女物の様に見える。ゾロは嫌な予感がした。
「おい」
 ゾロは再び声を掛け、比較的マシな状態の男の腹を爪先で小突く。
「誰にやられた」
「や、カモ、と、思った、ら、」
 からがら声を出した男に、ゾロは更に問う。
「どんな奴だ」
「黒い、スーツ、で、金、髪の」
「ぐるぐる眉毛に蹴られたか?」
 男は二度程首肯いて、力尽きた様だ。間違いない、うちのチンピラコックだ。大方、女に鼻の下を伸ばして人気の無い所まで付いて来たら男に囲まれた、その上女と思っていたのも実は男で腹立ち紛れに半殺し、といった所だろう。病的な女好きも最早病気そのものだ。ゾロは辺りを見渡すが、そこらに殺気は感じない。男達の様子を見るに、然程時間は立っていない。街でもおかしな殺気は感じなかったから、物騒なコックが居るとするなら森の中だろう。怒りは人の判断を鈍らせる。獰猛な大型肉食獣が潜んでいる気配も無いが、そもそもサンジの蹴りは虎を仕留める程度朝飯前だ、心配無い。森の危険は寧ろ地形だ。野山を駆け巡って育ったゾロは、一夜にして現れたり消えたりする不思議な獣道や崖に幾度となく遭遇してきた。冷静さを欠いた海育ちのコックが、月明かりの朧な夜、見知らぬ森に一人。悪い予感しかしない。
『サンジ君にサーブしてもらわないと味気無いわね』『ほんとに』
 ナミとロビンの会話がまた脳裏に浮かぶ。たった今空になった酒はいつもと同じ銘柄なのに、いつもより数段味が落ちる。
「連れて帰らねェと」
 ゾロは道を外れて森に入った。歩を進める先に心当たりなど無いが、間違わない気がしていた。

 足の赴くまま深くなる森を行くゾロは果たして、木の上で茫とするサンジを見つけた。殆ど影で構成される夜の森でそれを見つけられたのは、柔い月明かりが仄かにサンジの金髪を照らしていたからだ。白い頬に何かが緩く光って見えたから。
「コック」
 真下から声を掛けたゾロに、初めサンジは気づかなかった。まっすぐ前を見たまま、微動だにしない。
「おい」
 これだけ近寄っているのに気づきもしないサンジに怒気を露にすると、瞬間、サンジは現に戻った。
「あ?」
「こんな所で何してる」
「お前こそ、何してんだ」
「あー…迷子、探し」
「迷子って…。お前が迷子じゃねェの」
「ちげーわアホコック」
「うるせェボケマリモ」
 ゾロは、軽口を叩きながらふいと背けた顔を手の甲で拭ったサンジに気づかない振りをした。
「明るくなったら、帰んぞ」
「ん」
 短く同意して、サンジは木の上から飛び降りた。木の上で感じた心細さは、着地の衝撃で霧散した。傍に人が居るというのは、それだけで心強いものだ。それが誰であっても。と、今は思わせてやって欲しい。塩分を含む水分の通り道が乾いて、頬に違和感を感じさせるうちは。

 それぞれ幹に身体を預け、視線を交わさないまま会話する。朧だった月明かりも既に木々に阻まれ、顔を向けたとしても表情までは分からないだろう。
「おにぎり、美味かったかよ」
「あ?おにぎり?」
「なに、食わなかったの」
「いつの話だよ」
「昼飯用に、握ってやったろ。お前寝てたけど」
「そんなの知らねえよ」
「テーブルの上に置いてあったろ、船番用昼飯、ってメモ貼って」
「知らねえ…んなもん、無かった」
「ああ?じゃあ、どこに消えたんだよ」
「…」
「…」
 暫しの沈黙の間に、二人共が重要な状況確認を怠っていた事に気づいた。
「つかぬ事をお聞きしますが…、お前目が覚めた時、一人だった?」
「あー…お前以外全員居たな」
「ああ…じゃあ、誰かの腹ン中だな」
「ああ、あいつら…帰ったらシメる」
「んー、でもなあ、寝てたんなら、仕方ねえだろ」
「…」
「…」
 暫しの沈黙の後に、二人分の笑う息が漏れる。
 こうして二人、夜が明けるのを待つ。相手の顔も見えない様な闇の中では、喧嘩腰も形を潜める様だ。代わりに、知らなかった穏やかさが見える。
 他愛無い会話と、気詰まりでない沈黙が、二人の間に緩やかに積もる。

 一番暗いとされる夜明け前。
 一つだけは伝えておこうと、ゾロは口を開いた。
「てめェが直接俺に寄越さねえと、酒の味が違ェ気がすんだよ」
 慣らされちまったんだ。
 ゾロは言葉を少しだけ呑み込んだ。まだ、報せなくて良い。コックを得た船からコックが消えて残るのが味気無さだなんて。探してやった迷子に増長されるのも業腹だ。それに、まだ。表に出すべきではない様な気がした。一旦人が関与すると、それ以前には戻れないのだ。それに、まだ。表に出すのが惜しい様な。少し心裡で育ててみたい様な。ゾロは不可解な感情を抱えた。不可解な事に、不快ではない。

 空が白む。
「で、メリーはどこだよ」
 煙草に火をつけて問うたサンジに、ゾロはむすりと答える。
「知るか」
 サンジは口中の煙をぽかりと吐いた。
「迎えに来てくれたんじゃねェの?」
「連れ帰ろうとは思った」
「帰り道は」
「知らねえ」
「役立たず」
「何だと迷子野郎」
「そっくりそのままお返しするぜ」
 一触即発、になる筈の問答はしかし穏やかだった。互いにばつが悪く、強く出られない。それ以上に、なんだか胸がこそばゆかった。

 木立の合間を縫って射す朝日に照らされた下草が薙ぎ倒されている痕跡を注意深く探す。獣道が、少なくともゾロかサンジの足跡がある筈だ。それを辿れば、おそらく街へ通じる道に出る。そうしたら、食材を幾らか追加で仕入れよう、丁度荷物持ちも居る。酒屋に寄ってやっても良い。
 サンジは根拠も無いのに迷い無く進もうとするゾロを見遣ってこそりと笑う。
「迷子もたまには悪くねえな?」
「俺が知るか」
「これだから自覚の無ェ奴は」
「あァ?」
「酒買ってやるから黙って付いて来いよ」
 徐々に開ける視界に街への道を確信し、サンジは駆け出す。
 スキップでもしそうなその後ろ姿に、ゾロは気づかれない様、柔らかく笑った。


20150522-0529

 poponさんからいただいたネタは以下の通り
海賊。付き合う前。サンジくんが迷子で、ゾロが捕獲。
ゾロ=迷子は当然なのですが、
サンジくんが珍しく迷子になって心細くなっているところを
ゾロが探しに来た、もしくは、自分も迷子になっていて偶然出会ったなど…
 なんて悶えるお題だろうか!少しでもお応え出来ていると良いのですが。楽しくてこんなに長くなってしまいました。
 poponさん、ありがとうございました!(今後もよろしくお願いします!)

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