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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*ありがちかなーと思いつつ。19歳、メリーにて。

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 見張り台の上で、自家発電に励んでいた。そう珍しい事では無い。必要がある時には、大抵ここだ。毎日という程頻繁ではないが、前回がいつだったかは苦も無く思い出せる程度、の頻度。普通だと思う。他者と比べる事に意味は無いとしても。疚しさを抱える様な事では無い。
 間も無く終わる予感に手の動きが激しさを増した。比例する様に頭の中はぼうっとする。逆かも知れない。頭の中がぼうっとするのに比例して手の動きが激しさを増す。それとも、同時か。相乗効果の様な。同じ事、か。
 瞑りそうになる目を堪えて、放出の瞬間を見るのは、割と好きだ。ひくつく小さな穴を凝視していると、目の端に金色が動いた。
 あ?
 と視線を奪われた拍子に、出た。しまった、瞬間を見逃した。いや、問題はそこではなくて。
 俺の目に映ったのは、頭の上にバスケットを乗せて煙草を咥えた、クソコックの丸く見開いた目だった。
 見られた。
 クソコックと目線が合わない。それを辿ると腹に飛んだ白濁に至った。
 見られて興奮する性質ではない、寧ろ削がれる。しかも放出直後だ。手の中で見る間に萎れる愚息を、クソコックの視線から隠す様に脚を動かす。決して疚しい事では無いが、堂々と見せる様なものでもない。
「何だ」
 恫喝の声で問う。怯んだと思われるのは我慢ならない。
 我に返ったのか目線を俺の顔に移したクソコックは、ぱちりと一つ瞬きをしてから言った。
「夜食」
 頭上のバスケットを放る様に寄越す。汚れの比較的少ない方の手を咄嗟に伸ばす。難なく受け取って掛けられた布を捲ると、おにぎりが三つとポットが入っていた。多分中身は味噌汁だ。このポットにはいつも温かい汁物が入ってくる。酒は無ェのか、と言おうと思ったが、見張り台に上がる前に少々多めにラックからくすねて持ち込んでいる。バレてたか。
「邪魔したな」
 クソコックはそう言うと、ギシギシとロープを軋ませて視界から消えた。ややあってすとん、と軽く甲板を叩く音がする。身軽な男だ。
 必要になる事は分かっていたから濡らして持ち込んだ手拭いで、後始末をする。放出の瞬間の代わりに、クソコックの顔を見てしまった。俺を見ているのに目線は合わない驚いた顔のクソコック。せめて目線が合えば…。…せめて?
 面倒な思考に陥る予感がして、夜食に意識を振り向けた。ポットを開けると、キャベツともやしの味噌汁に卵が落としてある。半熟だ。魚のレストランで味噌汁なんて出してたんだろうか。具材は同じでも、故郷の味噌汁より、どこか洗練されている。これはこれで悪くない。おにぎりも、ただ白米を塩で握り固めただけではなく、綺麗な三角で、どことなく品がある。中身によって海苔の巻き方が変えてある。おかか、シャケ、梅干。定番の具材だが、その量は米の量と釣り合い、具の味も米の味も両方しっかり堪能出来る。驚く程完璧だ。お手拭きまで忍ばせてある。米でべたつき海苔の欠片が貼り付いた指をそれで拭いながら、思う。もし仮に俺に野望が無くて、例えば故郷で畑を耕す様な生活をするのだったら、嫁に来いと言ってしまいそうな——。
 何だそれは。クソコックは男だ、それを嫁とは。大いなる疚しさに、途方に暮れる。大体、俺に野望が無かったら、って仮定がおかしい。野望の無い俺なんて、俺じゃ無いだろう?
 何とは無しに、傍らに立ててある和道に視線を移す。
 和道は密やかに笑った。気がした。


20140625

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