忍者ブログ
『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

*『 ぜんぶ 737話扉絵 のせいだ。』

拍手




 *****
      



 二年の間に身につけた事は多々あれど、自分でも意外だった事が一つある。
 酔える様になった。
「酒に弱くなるには、まだ早ェんじゃねェの?」
 コック辺りはそんな風に揶揄するかも知れない。
 そういう事じゃない。
 船が小さかった頃は、仲間が少なかった頃は、一人で海を渡っていた頃は、出来なかった。
 背負う物を、分け与える事。
 純粋戦闘員である俺が、この船で担う事。
 仲間の安全の確保。主に敵からの襲撃に備える事。
 剣士たる者、如何なる時も、酒に呑まれる様な馬鹿はやらねェ。
 酔う事など、出来なかった。
 仲間が増え、信頼を培い、船も大きくなり、俺も強くなった。仲間も、また。
 酔う事が、出来る様になった。
 存外、楽しい。


 ゾロはカウンターに肘をつき、掌に顎を預けている。ずり下がる頭と、頬と掌の摩擦によって中途半端に開いた口から、涎だかなんだかが垂れている。空いた方の手は、酒瓶を掴んで離さない。
 そして視線は、俺の後ろ姿から、離れない。随分と虚ろになって猶。
 勘弁して欲しい。
 悪ィが、野郎にそんな目で見詰められる趣味は無ェんで。

「お前そろそろ寝れば?」
 瞳が、些か剣呑な光を帯びる。
「まら、飲みらりれェ」
「そんだけ呂律が回ってなきゃ、充分だろ」
 握られた酒瓶を取り上げようとすれば、顎置きになっていた手がそれを阻む。
 俺の手首を握った掌は、アルコールによって随分な熱を発している。
 その熱は、瞳にも籠もる。そのくせ蕩けた色を潜めた眼差しは真剣だ。
「酔っ払いのくせに」
「うるせー、好きらろ」
「てめ、なんちゅー事言うんだ」
 片手で酒瓶を握りしめ、もう片手は俺の手首を握りしめ、熱い瞳で俺を見て。なんて事。
「俺ァ、好きら」
「お、な、てめ、なに」
 うっかり動揺をそのまま口走った俺の手は、酔って猶力強い手に引かれ、ぐ、と顔同士が近付いた。
 至近距離。睫毛も触れてしまいそうな。
「…酒臭ェ」
 それしか思い付く悪態も無く呟けば、ゆっくりと、睫毛が俺の睫毛を掠めて、ゾロの瞼は伏せられた。
 そしてそのまま——
 ——ゾロはカウンターに突っ伏し、鼾をかいた。

 どうしてくれやがんだ、この熱の移った手首を。お前の吐き出す酒臭い息で酔っちまった俺を。
 ゾロは二年の間に、焦らしプレイを身につけやがった。小癪な事だ。


20140211

*酔っ払い剣豪妄想が捗った結果こんな事に。なんか違う。
*酔っ払ったゾロに軽く衝撃を受けたので、ウィスキーピークの所を読み返したら格好良かったんだけど、あの頃は酔っ払う訳にいかなかったんだな、と思って。安心して酔ってられる様になったら良いよ!と、思ったんだけど。

*サンジ君の顔は酔っ払ったゾロより赤くなってると思うよ!
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[575] [571] [577] [576] [574] [573] [572] [569] [564] [568] [570]
カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
最新コメント
[04/16 koma@ツツジの花]
[02/23 タカス]
[04/18 koma]
[12/22 koma]
[12/12 ゆう]
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
忍者カウンター
忍者アナライズ
バーコード
P R
忍者ブログ / [PR]
/ テンプレート提供 Z.Zone