『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「サンジ君」
静かな声で、ナミが言う。
「なあに、ナミさん?」
にこやかに、サンジが問う。
「私、ルフィが好きだわ」
サンジの目が大きく見開かれた。緩く閉じていた唇から、咥えていた煙草が今にも落ちそうだ。ナミの手元にサンジが運んでいたティーカップとソーサーが、不格好な音を立てた。
「私、ルフィの事が、好きなの」
再び自身にも言い聞かせる様な声色で言ったナミに、サンジは瞳の光を取り戻した。
「うん、そうだね、ナミさん」
温かい紅茶の湯気が、ナミの視界を白くする。
「俺たちの間には、仲間としての絆しか無い。ココヤシ村からこっち、ナミさんと俺は、ただの航海士とコックだ。そりゃあ、どちらも一流だけど」
話が早くて助かる。頭の良い人は好きよ。
ナミはにっこり微笑んで、カップに唇をつけた。
「ありがと、サンジ君」
「どういたしまして」
ゾロは、煙草も吸わずに黒い海を眺めているサンジを見つけた。たまたま目に入っただけだ、わざわざ探した訳じゃ無い。
「どうしたクソコック」
「ちょっとした失恋だ」
「珍しくも何ともねえな」
「その通りだ」
ゾロは瞠目した。素直に認めるなんて、尋常じゃない。
「慰めてくれる気が無ぇんなら、どっか行け」
「…慰めてやる気が、あるんなら?」
サンジがやっとゾロの顔を見た。
「そうだなあ…格納庫?」
ゾロはサンジを土嚢の様に担ぎ上げて、格納庫へと突進した。
正に土嚢よろしく格納庫の床にどさりと落とされたサンジは、ゾロに訊いた。
「慰めてくれる気が、あんの?」
「だからこうしてる」
言いながらゾロはサンジの上に伸し掛る。
「へえ。意外」
サンジは眼前に迫ったゾロの顔から、顔を背けながら言った。ゾロは、背けられた視線の先に何があるのかに気を取られて、動きを止めた。
「で?何してくれんの?」
サンジがゾロを見ないまま言う。
「何をして欲しい」
「言えば、してくれんの?」
「善処するぜ?なにせ、慰めてやるんだから」
「ふーん」
視線を合わせず、身動ぎもせず言ったサンジには、何にも興味を示す気が無い様だった。
男に、伸し掛られているというのに。
ゾロは不安になった。こいつは分かってるんだろうか。
「俺は、つけ込もうとしてるんだぞ?」
「お前って、優しーのな、顔に似合わず」
何を言われているのか、ゾロには分からなかった。それが褒められているのか貶されているのかも。
「わざわざ教えてくれなくても、分かるよ、そんくらい」
「…良いのか?」
「だから、大人しくしてんだろ。良いぜ?好きにして」
ゾロに向けられたサンジの瞳に、自身が映っていない事はゾロにも分かった。
ゾロはサンジの耳の後ろに、唇で触れながら言った。優しく、優しく。
「慰めるって言ってんだろ」
僅かずつ場所を変え、ゾロの唇はサンジの首筋に触れていく。
「あんな性悪女に、お前が振り回される事無ぇんだよ」
それがどんなに酷い事か、分からない訳じゃ無いだろうに。
「ナミさんを悪く言うな」
「乗り捨てられたのに、庇うのか」
それがどんなに酷い事でも。
「そんな言い方すんな」
サンジはナミを庇う。
ゾロは全部知っていた。ナミと、サンジの関係を。睦み合う二人を。
“睦み合っている”と思ったからこそ、身を引いていた。どちらもルフィが望んだ、大切な仲間だ。
ましてや、自分の望みは自然の摂理に反していて、更には、相手は自然の摂理に反する気など欠片も無いだろうと思っていたから。
好きにしていいなどと言われて、そうせずに居られる程、出来た人間ではない。
けれど、自分本位に好き勝手出来る程、それは既に欲だけでも無くなっていた。
「酷くしてくれりゃ良いんだよ」
強がって。
「優しくされたら、居たたまれねぇ」
強がって。
「俺は、傷付きてぇんだ」
強がって。
誰かが傷付くくらいなら、自分が傷付く方を選ぶサンジを。
ゾロは慰めたかった。それが出来る権利を、欲しかった。
「俺は相当優しい人間だがな?」
露程も思っていない事を、ゾロは当て付けの様に言う。
「失った恋につけられた痛みを、俺の所為にしてやる程、甘かねぇんだよ」
だから、酷くなんてしてやらない。優しく慰めて、つけ込んでやる。
それがどんなに酷い事でも。
20130514,0626,0813,0822,0828,0829
*お話迷子(最早恒例)
*ナミさん、酷い女扱いしてごめんね。
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