『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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魚釣りをするつもりで漁船に乗ったのに、船は海の中に潜ってしまったので、ゾロは自分の過ちに気付いた。待ち合わせはシャボンディ諸島であって魚人島ではない。集合後に魚人島へ行くのだとしても、一足お先に、って訳にもいかないだろう。止む無く船をまっぷたつにして海岸に戻ると、そこには呆気にとられた表情のサンジが居た。
二年振りに見る。一瞬、幻影かと思った。それほどまでに会いたかったのか、と、自身を嗤いかけたが、だとすれば二年前そのままのビジュアルで現れるだろう。だから本物だ。つまりサンジのビジュアルは、二年前と違っていた。
如実な違いは、長い前髪が隠す片目が、左から右へ。
「右目、どうかしたのか」
ゾロがサンジの右前髪に手を伸ばす。それを頭を振って阻んだサンジは言った。
「ただのイメチェンだ何ともなってねぇ」
「それより、お前…」
サンジの右手がゾロの頭部に伸びる。
「…髪、伸びたな」
くしゃりとゾロの、二年前よりは長い、しかし自分のものよりは余程短い髪を鷲掴みにしたサンジの手は、それを直ぐに離して徐々に、下がる。
指先が、ゾロの左瞼を掠めて、サンジの右腕はだらりと重力に従って伸びた。
「何ともねぇよ」
ゾロがぼそりと言うのを合図に、サンジは下ろした指先を見た。
肩が揺れた様に見えたのは、ゾロの錯覚だろうか。一刻も早く腕の中に閉じ込めてしまいたくて、ゾロは腕を伸ばした。しかし、その腕がサンジの背中に回る前に、サンジが腕を突っ張らせてそれを阻んだ。
「…濡れるだろ、やめろ」
海になど入るのではなかった、勿論そんなつもりはなかったのだが。後悔は先に立たない。
「乾いたら、…覚えてろ」
ゾロは独り言ち、サンジの頤に指をかけて上を向かせた。大分濃くなった顎髭が、ゾロの親指の腹を擽る。ゾロは心臓も擽り撫でられた気がした。
「何ともねぇから」
ゾロが言えば、サンジの左目が、ゾロの右目を睨む。
「見てたろ、ガレオン船をまっぷたつ、だ」
「昔、見たことがあるな、何とかって言う艦隊の母船が、まっぷたつに斬られるとこ」
「あの位置には、届いてる」
サンジの垂れ下がっていた右手が持ち上がり、袈裟懸けの傷を辿った。
「全治二年だったな」
「とっくに治ってる」
「何ともねぇんだ。だから——」
言い淀んだゾロを、サンジは訝し気に見た。そのサンジを見て、やはり思った事を、ゾロは言う。
「泣くな」
「泣いてねえ! ——泣いてなんか、ねぇよ…」
威勢良く喚いた直後、弱々し気に付け加えられて、やはり泣いているのだ、とゾロは思う。
ゾロはサンジの頤から指を外して、唇を寄せた。潮の味を、懐かしく思った。
20130503,0507
サンジは訊けないんだろうなぁ、と思って。
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