忍者ブログ
『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

utaeさんには「涙は星になった」で始まり、「私は独りで泣くのです」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば12ツイート(1680字)以内でお願いします。 #書き出しと終わり https://shindanmaker.com/801664

拍手




 *****
      



 涙は星になった。のなら、美しくて良いのに。月夜は満天の星だ。そのどれかになったのなら、せめて誰かの目を楽しませるのに。残念ながら、俺の目から零れ落ちたしょっぱい水は、頰を濡らして汚すばかりだ。
 顎先まで伝って落下した涙が、月光を弾いて光った。それに視線を取られた筈の奴は、それを見ていない事にしたらしい。僅かに瞠目して、動きを止めたくせ、変に気を使う。奴は泣いているところを見られたくないのだろう。見た事ねえな、そういや。もし万が一そんな場面に出喰わしたら、どうからかってやろうか。それとも俺もやっぱり奴と同じように、何も出来ずに見なかった事にするだろうか。奴は、どんな時に涙を落とすのだろう。目尻に浮かんだ涙なら、大あくびの後によく見るけど。うっすらと目の縁を飾り、そのまま蒸発してしまう微かな水分。眼球の表面をうっすらと潤す水。零れ落ちるのは、感情の昂りを制御出来ない時だ。説明出来ない役立たずの言葉が、涙に姿を変えてしまう。なんで泣いてるのかって? 訊かれても困るのだ。説明出来ないのだから。だから、問われないのは幸いだった。
 奴が、星を見た。夜空を駆け上るように一つ星が流れた。同じくして、俺の頰を涙が流れた。案外、涙は星になるのかも知れない。馬鹿な事を考えている。と、動きを止めていた奴が、間合いを詰めた。瞬きの間に奴が手の触れる位置に来た。

「どうにかしてえ」

 ひっそりと、奴は言った。なにを、とは問わなかった。明らかだった。奴の視線は俺の涙が流れるのを追い、それが顎を離れる瞬間、奴の指がそれを拭った。奴はそれを、唇に寄せた。奴の指を濡らしたしょっぱい水が、奴の唇を濡らす。ふっくらと盛り上がったそれを、奴の舌が舐め取る。見ない事にしたんじゃねえのかよ。

「美味かねえだろ」

 奴に取り込まれたかつての俺の一部に、少しの羨望を感じた。嫉妬かも知れない。奴の瞳が光った。表面を覆う水分量の増加。再び流れ落ちる俺の涙。奴は指ではなく、直接唇を寄せた。涙とは違う、頰を濡らす水分。奴の一部。
 それらがまとめて、奴の体内に入る。今度は明らか嫉妬だった。役立たずの言葉の残滓、そんなもん体に入れて、お前どうするの。俺の体には入れないくせに、ちょっと体表を濡らしていくだけのくせに。
 奴はひとしきり俺の目尻を吸って、もう水分の供給がないと知ると、他にどうしていいか分からないといった手つきで俺の髪をかき混ぜた。されるがままだったのは、俺にしたってどうしていいか分からなかったからだ。全部の星が流れてしまうまで、奴も俺も、どうしていいか分からないままだった。

 そんなことがあって以来、奴の前で涙は零さない。あんな馬鹿な感情と向き合うのはもうごめんだ。奴に俺をどうにかしたいなど、思われてはかなわない。分からないまま立ち尽くすなんて。朝日に驚いて身を離すなんて。そんな、間抜けな。
 涙を星にしたい夜、俺は独りで泣くのだ。



20180928,1005,1008

*お題お借りしました。
 とっちらかった。そして文字数だいぶ少ない(けど『以内』だし!)
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[1073] [1072] [1071] [1070] [1069] [1068] [1067] [1066] [1065] [1064] [1063]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
最新コメント
[04/16 koma@ツツジの花]
[02/23 タカス]
[04/18 koma]
[12/22 koma]
[12/12 ゆう]
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
忍者カウンター
忍者アナライズ
バーコード
P R
忍者ブログ / [PR]
/ テンプレート提供 Z.Zone